後遺障害 [公開日]2018年6月27日[更新日]2020年12月17日

後遺障害認定の異議申し立てとは?

交通事故の怪我の後遺症が残り後遺障害認定を申請した結果、「非該当」となったり、認定された等級に納得がいかなかったりする被害者の方も多くいらっしゃるようです。

特に、交通事故で多い「むち打ち」は他覚症状がない場合が多く、思い通りに後遺障害認定されないというケースが散見されます。

後遺障害認定の結果に不服がある場合、異議申し立てを行うことができます。
異議申し立てが認められれば、認定結果が覆る可能性があります。

今回は、後遺障害認定の異議申し立てについて解説します。

1. 異議申し立てとは

後遺障害認定の結果に対する不服申立の方法として、「異議申し立て」という制度があります。

異議申し立てを行う場合には、初回申請の際に「なぜ非該当だったのか」「何故低い等級に認定されたのか」などを分析した上で、不足部分について病院や医者に医療照会などを行い、異議申し立てに必要な医証を収集しなければなりません。

また、被害者に残存する症状が認定基準を満たしていることを主張するためには、医師の意見書や新たな後遺障害診断書などを添付しなければならないでしょう。

不服の原因を分析、解明し、認定基準を満たすだけの新たな証拠を提示することには専門的な要素が非常に多くなります。
さらに医療関係者との交渉も必要となるため、専門家である弁護士に相談し委任することをお勧めします。

【異議申し立てを審査する機関】
後遺障害認定を損害保険料率算出機構に申請すると、その審査は同機構内の自賠責損害調査事務所という機関が行います。
一方、異議申し立ての場合、申請は同じ損害保険料率算出機構にしますが、具体的な審査は同機構内の自賠責保険審査会という機関が行います。この審査会は、審査の客観性・専門性を確保するため、弁護士・専門医・学識経験者など外部の専門家で構成されます。
この公正さを担保した審査会において、認定の判断をもう一度求める制度が異議申し立てなのです。

なお、異議申し立ての審査は「一度下した判断を再審査する」ことになるわけですから、最初の後遺障害申請に比べ審査が厳しい傾向にあると言わざるを得ません。

異議申し立てをして認定の判断が変わる確率(成功率)は、全体の5%程度というデータも公表されています。

なお、異議申し立てをして自賠責からの回答を得られるまでには、症状の内容にもよりますが2~6ヶ月ほどの期間を要します。通常の場合には、初回申請時よりは長期間が必要となります。

異議申し立てに期間等の制限・時効はあるのか?

後遺障害認定への異議申し立てには原則、回数の制限はありません。
該当可否の決定に対する不服を申立てる制度ですから、納得がいくまで何度でも申請できます。

ただし、交通事故の相手方に対する損害賠償請求権には時効が存在します。

交通事故の加害者の行為は不法行為にあたり、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する」(民法724条前段)と定められています。しかも、自賠責の請求では、加害者に対する時効期間は更新(改正前:中断)されません。

つまり、損害賠償請求権は症状固定時から3年で時効が成立するので、異議申し立てはこの時効が成立する前に完了させ、相手方に請求をする必要があります。請求権が消滅してしまうので、余裕をもって行うべきでしょう。

交通事故における損害賠償請求権の時効とは?タイムリミットは3年?

[参考記事]

交通事故における損害賠償請求権の時効|タイムリミットは3年?

2.異議申し立ての方法

異議申し立ての方法にも、初回申請と同様に「事前認定」「被害者請求」の2種類があります。

初回申請は事前認定で行ったという方も多いかと思いますが、異議申し立ては原則として「被害者請求」で行うことがお勧めです。

(1) 事前認定

事前認定による異議申し立ての場合、異議申立書を相手方任意保険会社に提出します。

つまり、初回申請時と同じように、審査のために提出する書類等の内容を被害者がコントールできないというデメリットがあるのです。

また、等級認定がされたとしても即座に自賠責保険金を受領できるわけではありません。

異議申し立てに関する手続きは常に相手方任意保険会社を仲介することになり、時間的なロスと手続きの適正さへの疑念で被害者を悩ませることになるでしょう。

後遺障害の事前認定とは?被害者請求との違い、メリットなどを解説

[参考記事]

事前認定(加害者請求)とは?被害者請求との違い、メリットなど

(2) 被害者請求

被害者請求による異議申し立てをすると、異議申立書は相手方自賠責保険会社に直接提出することになります。
ですから、等級認定が下りた際には、相手方自賠責保険会社からすぐに自賠保険金が支払われます。

また、被害者請求の方法で異議申し立てするうえでは、被害者本人が積極的に動いたり弁護士に依頼したりすることで、必要な書証の収集などが主体的に行えます。

事前認定の方法では、再審査に必要な証拠や書類の準備が十分行えたかが不明なまま後悔が残ることにもなりかねませんので、後遺障害の異議申し立ては事前認定よりも被害者請求でした方が認められる確率が高まるでしょう。

[参考記事]

被害者請求はどのように行うのか?開始の手順と準備するべき書類

3.異議申立書の必要書類

(1) 異議申立書

自賠責保険への異議申し立ては原則書面審査ですが、決まった形式はありません。
つまり、異議申立書の書き方・書く内容が後遺障害の異議申し立ての認容を左右します。

なかでも特に重要なのが、異議申し立ての「理由」です。

初回の認定結果が不合理であると考えたことへの説明は必須でしょう。

また、申立人の症状が想定する等級の基準に該当していることを論理的に説明して記載しなければなりません。

(2) 添付資料

さらに、異議申立書を裏付ける証拠となる資料が必要です。

この新たな後遺障害診断書や医療照会の回答書、医師の意見書などの添付書類の内容が異議申し立てを認容へと導く重要なカギとなります。新たな医療上の証拠を提出しないとまず認定されないでしょう。

したがって、特に事前認定での初回申請で申請書を十分に証明するための資料が提出されていたかを検証することは重要です。

初回に認定結果の理由が不当だと考えられる場合には、申請した後遺障害等級に該当することの妥当性を裏付ける資料の収集に注力しましょう。

一方、当該理由が相当だと考えられる場合には、異議申立書で新たな主張を行うための必要書類を収集しなければなりません。

4.異議申し立てに失敗した場合の対策

最善を尽くし異議申し立てによる再審査を経てもなおご自身が納得のいく認定がなされなかった場合、認定結果の不合理性を訴え出る手段として、自賠責保険・共済紛争処理機構というところに紛争処理申請の申立をすることもできます。

自分が考えていた後遺障害の等級より低い等級が示された場合や非該当となった場合、紛争処理申請書に後遺障害の等級に関する申立内容を記載し提出します。

弁護士や医師などからなる紛争処理委員が書面審査を行った後、調停による結果が送られてきます。

申立は1度きりですが無料でできますので、利用する価値はあるでしょう。ただし、この方法を使うと異議申立て等できなくなりますので、最後の手段です。

5.まとめ

後遺障害の異議申し立て認容の確率を高めるためには、等級認定基準にきちんと適合する異議申立書や意見書を作成し、病院や医師に医療照会をして医療記録などの医証を追加収集するという手順を踏まなければなりません。

被害者ご自身だけで異議申し立てを行うのは難しいはずです。後遺障害認定に不服を申立てる最善の策を提示してくれる弁護士に依頼すべきでしょう。

泉総合法律事務所であれば、交通事故案件の解決に特化した弁護士が責任もってサポートさせていただきます。異議申し立ての成功事例も多くございます。

[解決事例]

30代主婦、後遺症は初回非該当→異議申立にて14級獲得、示談金380万円超

初回相談は無料となっておりますので、交通事故でお悩みの方は是非一度泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

ご依頼をお悩みの方も、一度ご相談ください。
初回のご相談は無料です。
まずはお気軽にお問い合わせください。
0120-260-105
【通話無料】電話でのご相談はこちら
平日 9:3021:00 / 土日祝 9:3018:30
お問い合わせは全国から受け付けております。