加害者が不誠実で交渉できない
加害者側が不誠実極まりない場合
交通事故によって身体的・精神的に傷つけられたにもかかわらず、事故後の加害者の心無い対応によって、さらに精神的に傷つけられたという経験をされた方もいらっしゃることと思います。しかし、残念なことですが、加害者側の不誠実な対応が慰謝料の増額理由として認められるためには、加害者側の態度が「著しく不誠実なものである」と認められる必要があります。
では、どのような場合に著しく不誠実と認められるのでしょうか。
過去の裁判例によると、
- ・加害者が事故後免許取消しを恐れて救護せずに逃走し、加害車両の修理や廃車手続をとるなど証拠隠滅工作を行ったことなどから、慰謝料の増額が認められたもの(大阪地判平9.12.11)
- ・被害者に過失がなく、警察官から目撃者の供述内容を聞いていながら責任を否定し続け、被害弁償がなされなかった可能性もあった加害者の態度などが考慮され、慰謝料の増額が認められたもの(東京地判平15.2.17)
などの例があります。
上記裁判例のように、証拠の隠滅や、加害者の一方的な過失を示す証拠があるにもかかわらず殊更に自分の過失を否定し続ける態度などは、加害者側の「著しく」不誠実な態度として慰謝料の増額事由にあたるケースもありますが、単に謝罪や見舞いをしなかった、あるいは責任を否定した、などの事情を慰謝料の増額理由とすることは困難であるといえます。つまりは、常識に反するような対応をしたなど、著しく不相当な場合にかぎり認められるとされています。
加害者側の不誠実な対応に直面したのであれば、交渉を弁護士に委ねることが最善の策と言えます。「加害者側の保険会社との対応を含めて弁護士に依頼したことで、依頼前よりも気持ちが楽になった」と言っていただけるご依頼者の方も大勢いらっしゃいます。
加害者側の保険会社との対応が煩わしくなった場合、さらには対応のストレスで仕事や日常生活に支障をきたしていらっしゃる場合は、お早めに交通事故対応に長けた弁護士への相談をご検討ください。
なお、弊所では加害者に任意保険会社がついている場合のみご依頼をお受けしております。したがいまして、加害者自身との交渉についてはご相談をお受け致しかねますので、何卒ご了承ください。