示談交渉

示談交渉とは

交通事故の被害を回復する方法はいくつかあります。裁判所を通じた手続としては、裁判、調停といったものがありますし、裁判外紛争処理機構(ADR)といったところを利用することもできます。しかし、一般的に採られている解決方法の多くは、「示談」ではないでしょうか。

示談とは、お互いの話し合いによって解決を図る方法です。したがいまして、そこに法的手続のように法的拘束力はありませんので、ある程度歩み寄ったりすることも必要な場合があります。これがデメリットといえばデメリットでしょう。

しかし逆に、裁判手続のように時間はかからないため、早期に解決させることができます。これが「示談」のメリットとなります。

示談交渉は、本来、被害者と加害者が互いに話し合いを持つことですが、現在では、ほとんどの自動車保険(賠償保険)に、「示談代行サービス」というものがついています。これによって、被害者の方は、加害者個人と話をする必要はなく、加害者の加入する保険会社の担当者と話をすることになります。

示談交渉のタイミングと時効について

死亡事故の場合

死亡事故の場合、加害者側の保険会社としては、被害者が亡くなった直後にお金の話をするのは失礼だと考える傾向にありますので、四十九日が終わって、一段落ついた頃に、示談の話をしてくることが一般的です。

なお、死亡事件の損害賠償請求権の時効は、死亡日から3年とされています。

傷害事故の場合

傷害事故の場合、治療終了後、示談交渉に入ります。治療が終了しないと損害の全容が分からないためです。治療が終了しますと、これ以上損害が膨らみませんので、そのタイミングで具体的な損害全体の額を計算することになります。

なお、後遺障害が残存した場合には、後遺障害等級の申請を自賠責保険に行い、その結果が通知されてから、示談交渉にとりかかることになります。

時効は、ケガの部分については「事故発生日から」、後遺障害部分については「症状固定日から」と考えられています。

物損事故の場合

物損事故の場合には、修理見積りなど、被害車両の損害の状態が確認でき次第、示談交渉に入っていくことになります。修理が相当な場合には、通常、保険会社と修理工場との間で、修理費について「協定」と呼ばれる合意をし、保険会社が直接修理工場に修理費を支払う方法をとることが一般的です(被害者にも過失が生じる場合には、支払い方法は適宜対応されることになります。)。

ちなみに修理が不可能で全損の場合には、時価が賠償されることになります。また、修理費が、被害車両の時価を上回る場合には、「経済的全損」とされ、修理費ではなく、時価が賠償の対象となります。

示談交渉ができる人

示談交渉を行うことができる人は、かぎられています。

被害者本人はもちろん行うことができ、これが原則かと思います。未成年であればその親権者が行い、死亡事件の場合には、相続人が行うことになります。

さらに、被害者本人(死亡事件の場合には相続人)から、任意に委任を受けた代理人も行うことができます。一般的には弁護士がこれに当たります(請求額次第では司法書士も可)。

気をつけなければならないのは、誰でも任意の代理人になれるというものではありません。報酬を得る目的で弁護士でない者が代理して示談交渉などを行うことは禁じられています。

今は、ほとんど聞きませんが、交通事故被害に遭われた方の情報を聞きつけて、示談に介入してくる「示談屋」という輩も以前はいたようです。弁護士資格を持たずに示談に介入し、賠償金の一部を報酬として請求して来る輩です。これは弁護士法で禁じられている行為ですので、こういった人が近づいてきた場合には、注意が必要かと思われます。

示談交渉の相手

示談交渉の相手は、基本的に、損害賠償責任を負っている人です。加害者本人、加害者が業務中であればその雇い主(会社など)、未成年であればその親権者、加害者が死亡している場合にはその相続人などです。また、人身事故の加害車両の所有者が運転者とは別にいる場合には、その所有者も責任を負うことになります(物損事故の責任は負いません)。

加害者が任意保険に加入していれば、加害者側の保険会社の担当者と話し合いを持つことになります。

保険会社と示談交渉をする場合

保険会社と示談をする場合、通常は、「示談書」ではなく、「免責証書」や「承諾書」といった書面を被害者と保険会社間で交わします。これは、「保険会社が賠償金を支払ってくれれば加害者個人には請求しません。」といった趣旨の書面で、実務上は、この書面にて示談を締結することが一般的です。

示談交渉で必要となる書類一覧

人身事故の場合
書類 説明等
交通事故証明書 加害者、被害者名が記載されている交通事故証明書を自動車安全運転センターから入手可能です。通常は、加害者側保険会社が取り付けます。
診断書・診療報酬明細書 加害者側保険会社が、通常は、医療機関に直接払いを行い、左記書類も保険会社が取り付けます。
通院交通費明細書 用紙は保険会社から送ってもらうことができ、被害者にて記入します。
休業損害証明書 用紙は保険会社から送ってもらうことができ、勤務先に作成してもらい、事故前年度の源泉徴収票などと併せて保険会社に提出します。
後遺障害診断書 治療終了後、症状固定時点で後遺障害が残っている場合には、保険会社から用紙を入手し、病院に作成をお願いすることになります。
後遺障害等級認定票 後遺障害を申請した結果の書類です。

物損事故の場合には、修理見積書などが必要になります。通常は、加害者側の保険会社が損害レポートという形で、被害車両の損害の情報をまとめて書面化するのが一般的です。

示談書に記載される主な内容とは

示談書には、その交通事故を特定する情報が記載されます。事故年月日、事故場所、被害者名・住所、加害者名・住所、車両ナンバーなどがその情報に当たります。また、当然ながら、賠償金の金額も記載されることになります。

示談交渉が決裂した場合は

示談交渉で解決に至らなかった場合には、究極的には裁判を行うことになります。裁判よりも簡易な方法としては、調停といった方法もありますが、これは結局裁判所で行われる「話し合い」ですので、相手方が「応じない」という判断をすることもでき、そうなると、やはり最終的には、裁判をするしかなくなります。

また、裁判所ではない、裁判外紛争処理機構というところもあり、交通事故で一般的なものとして交通事故紛争処理センターがあります。

交通事故紛争処理センター(ADR)とは

交通事故紛争処理センターは、裁判外紛争処理機構(ADR)の一つであり、ここに多くの保険会社が加盟しています。

センターの嘱託弁護士が間に入り、和解あっ旋という手続を行ってくれます。「和解あっ旋」なので、ここでも相手保険会社が「応じない」という判断をすることができますが、紛争処理センターの場合、和解あっ旋で解決に至らなかった場合、被害者側は、「審査」という手続の移行を申立てることができ、審査を経たあと、センターから裁定が下されることになりますが、保険会社は原則的にはこの「裁定」には従わなくてはならないというルールになっています。

一方、被害者側が、この裁定の内容に納得できなかった場合には必ずしも従う必要はなく、裁判所に訴訟を提起することもできます。

交通事故の被害者弁護・示談交渉は泉総合にご相談ください。

泉総合法律事務所では、交通事故の加害者側との示談交渉の経験が豊富にあります。やはり交渉ごとは、その経験値によってかなり結果が変わってきます。

交通事故の加害者側との示談交渉でお困りの方や、より有利な示談交渉の結果を得たいという方は、まずは泉総合法律事務所にご相談ください。ご相談者様の状況に応じた親身なサポートをお約束いたします。

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