過失割合 [公開日]2020年3月10日[更新日]2021年8月5日

交通事故の過失割合10対0!注意点と慰謝料・示談金の相場

交通事故では、当事者の両方に過失があるケースが少なくないのですが、ケースによっては過失割合が10対0となり、「完全な被害者」となってしまうこともあります。

過失割合10対0の被害者となった場合、原則としては減額のない100%の請求ができます。一見多額の賠償金を受け取れそうではありますが、これには盲点もあります。

今回は、過失割合10対0となるケースで、被害者が注意すべきポイント、過失0のときこそ弁護士に相談すべき理由についてご説明いたします。

1.過失割合10対0の交通事故とは?

(1) 過失割合とは?

交通事故は単独事故のケースもありますが、多くは複数の当事者が巻き込まれてしまいます。
一般的には、人身事故でも物損事故でも、過失の大きかった方を加害者、過失がない・少ない方を被害者と呼んでいます。

交通事故では、当該事故に関わった損害について当事者に責任を負わせるため、過失割合というものを用いて、責任の度合いを決定します。
具体的には、6対4、7対3などと表示し、これが損害賠償責任における負担の度合いに影響します。

例えば、被害者に全体で1000万円の損害があり、過失割合が6対4であれば、被害者は600万円しか請求できなくなってしまいます(自己の責任分の400万円が減額されます)。

過失割合の決め方としては、これまでの判例を参考にして判断していきます。
個別事情により過失割合が修正されることはありますが、交通事故に対する責任を平等かつ公平に分配するために、このようなシステムが取り入れられています。

交通事故の過失割合は誰が決めるのか?

[参考記事]

交通事故の過失割合は誰が、どう決めるのか?

なお、「示談金・慰謝料をいくらもらえるのか」という点については、被害者の怪我の程度(治療の実費や入通院期間)や、修理費・買い替え費用・代車費用などの実損害費により変動しますので、「過失割合10対0の事故の示談金相場」というものは存在しません。そもそも、損害がいくらかというはなしと、過失割合の話は法律的には別のものです。

加害者に請求できる損害項目・お金については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

交通事故時に加害者に請求できる損害項目・お金一覧

(2) 過失割合10対0の具体例

交通事故では、両当事者に過失があるケースが少なくないのですが、場合によっては片方の過失割合が10割というケースも存在します。つまり、片方が完全な加害者で、他方は完全なる被害者というケースです。

具体的には、以下のようなケースがあります。

  • 自動車Aが停車中の自動車Bに衝突した場合(A:B=10:0)
  • 信号機がある交差点にて、当事者双方が直進していて、赤信号で直進した自動車Aと青信号で直進した自動車Bが衝突した場合(A:B=10:0)
  • センターラインが引かれている道路において、センターラインをオーバーした自動車Aが対向車Bと衝突した場合(A:B=10:0)
  • 信号機が設置されている横断歩道上において、歩行者が青で横断を開始し、自動車が赤で横断歩道を直進した場合(自動車:歩行者=10:0)
  • 信号機が設置されていない横断歩道上の歩行者と自動車の事故の場合(自動車:歩行者=10:0)

過失割合が10割というケースの多くは、停車中の車に衝突するというケースもよくあります。また、明らかな赤信号での侵入もあります。交差点内に赤信号で侵入、相手は青信号というケースでは10:0となります。

このように、多くの事故では当事者の双方に過失がありますが、当事者の片方のみに明らかな違反があれば過失割合が10:0となるケースもあります。

2.過失割合10対0の被害者が注意すべきポイント

過失が0の被害者の場合、何の落ち度もないわけですから、事故解決もスムーズに行われると考えがちです。
しかし、実際は被害者がトラブルに巻き込まれることもあるため、いくつか注意点を知っておくべきです。

そこで、事故被害者が注意すべきポイント2つをご紹介します。

(1) 相手方が違反や過失を主張してくる

仮に過失割合10:0となる事故が発生しても、相手方や任意保険会社がこれをすんなり呑んでくれるかどうかは別問題です。
というのも、損害賠償額を低くしたいがために、相手方が被害者にも過失があったと主張してくる可能性があるためです。

例えば、被害者にも前方不注意などの違反があったと主張するケースです。「天候の問題で視界が悪く、10対0のケースには当てはまらない」という反論が行われることもあります。

過失割合や交通事故に詳しくない被害者の方は、「実は過失があったのかも…」と上手く言いくるめられてしまう危険があります。

(2) 自身が加入する任意保険会社は示談交渉ができない

不利な状況を避けるために、自身が加入する任意保険会社の担当者に示談交渉をお願いしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実はこれは不可能です。
というのも、過失割合が10対0を主張する場合は、ご自身が加入する任意保険会社は示談交渉サービスを行わないためです。

示談交渉サービスについては、どの任意保険にも付いているものですが、これは加入者に過失があった事故を前提としています。

加入者に過失がある事故の場合は、保険会社が損害賠償に関して支払いを行う必要があるので、示談交渉を代行してくれます。
しかし、加入者に過失がない場合は、保険会社が保険金を支払う必要がないため、示談交渉には参加してくれないのです(仮に示談交渉を代行した場合は、弁護士法違反に問われる可能性もあります)。

このように、被害者の過失が0の場合は、被害者の加入する任意保険の示談交渉サービスは利用できません。ご自身で相手方の任意保険会社とやりとりを行わなければいけないのです。

3.過失割合10対0の交通事故こそ弁護士へ相談

最後に、過失割合10対0の事故で被害者が弁護士に相談すべき理由をご説明します。

(1) 任意保険会社に対し有利な交渉ができる

相手方の任意保険の担当者は、親切に対応してくれるかもしれません。しかし、彼らはあくまで営利団体のため、少しでも損害賠償額を減らすことを考えています。
また、相手は何度も交通事故に関する示談交渉をまとめてきたプロであるため、被害者への対応も知り尽くしています。

このような状況の中で、殆ど損保対応経験のない被害者が1人で対応していくのは大変です。治療も続けながら、ご自身に不利にならないように交渉を進めて行かなければいけません。

任意保険会社の担当者とは、知識や経験で格差があるため、交渉で有利に振る舞うのは至難の技といえるでしょう。

しかし、弁護士に依頼すれば、交渉での格差はなくなります。交通事故に詳しい弁護士であれば、任意保険会社と同様に何度も交渉をまとめているため、話もスムーズに進んでいきます。

また、弁護士は100%被害者の味方です。被害者にとって有利に交渉を展開することができるため、相手方が被害者の過失を主張してきても効果的な反論をすることが可能です。

これまで交渉が停滞していたという案件でも、弁護士がついた途端保険会社の対応が軟化したというケースも多くあります。

(2) 慰謝料が増額できる

さらに大きなメリットとして、弁護士に依頼すれば、慰謝料計算の基準が変わります。

任意保険会社が提示してくる慰謝料は任意保険会社独自の基準から算出した慰謝料額となります。しかし、これは被害者が受け取るべき正当な金額よりも少なく設定されていることが多いのです。

弁護士に依頼すれば、裁判で利用されている適正な基準である弁護士基準(裁判基準)を採用することができます。これによると、任意保険会社基準で計算するよりも、内容により慰謝料が数十万〜数百万円アップすることもあります。

もちろん、過失相殺がされないので、過失がある事故よりも手取りの額が多くなります。

弁護士に依頼すると交渉で有利に立つことができるため、過失相殺で損をしないだけでなく、基準の違いにより慰謝料を増額できる可能性もあるのです。これは被害者にとって大きなメリットといえるでしょう。

[参考記事]

交通事故の過失割合10対0!注意点と慰謝料・示談金の相場

4.過失割合でお悩みの被害者の方は弁護士に相談を

過失割合が10対0の交通事故に巻き込まれた方は、弁護士にご相談ください。
ご自身が加入する任意保険会社は交渉代行ができませんが、弁護士であれば交渉が可能です。

なお、弁護士費用特約があれば、弁護士費用がほとんど無料になることでご依頼者様の経済的な負担も大きく軽減できます。つまり、弁護士費用部分を払わなくてよくなりますので、弁護士基準によって増額の恩恵だけを受けることができます。

交通事故について疑問、お悩みがある方は、ぜひ、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。交通事故トラブルに関する知識・ノウハウを持つ弁護士が、当該事件について迅速に解決いたします。

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