過失割合 [公開日]2018年5月17日[更新日]2018年9月14日

交通事故の過失割合は誰が決めるのか?

交通事故の過失割合は誰が決めるのか?

交通事故に遭うと、必ずといっていいほど話にあがるのが過失割合という言葉ではないでしょうか。

そこで、今回は、交通事故の過失割合について、誰がどのように決めるのかといったことを中心に説明します。

1.過失とは

交通事故が発生する場合、運転者の不注意が原因の一つとして考えられます。

たとえば、脇見をしていたために、前の車に追突してしまったといった事故の場合、追突した車の運転者が前方不注意であったために事故が起きたといえます。

こうした運転者の不注意を「過失」と言います。

2.過失割合とは

交通事故は、追突事故のような加害者の一方的な不注意による事故以外では、交差点での出合い頭事故のように、加害者と被害者双方の不注意で起きることが多いものです。

このように、双方に不注意(=過失)があった場合、加害者の損害賠償額を被害者の過失に応じて減額することになります。

この被害者の過失に応じて減額をする割合のことを「過失割合」と言います。

3.過失割合は誰が決めるのか。

交通事故に遭うと任意保険会社から、事故の過失割合については、○対○で考えているとの連絡があることが多いと思います。

こうしたことから交通事故の過失割合は保険会社が決めていると思われる方も多いのではないでしょうか。

結論としては、過失割合は最終的に示談の際に当事者双方の合意によって決められることになりますので、保険会社の言う過失割合は、あくまでも保険会社の提案であり、それに基づいて事故の当事者が判断して決定するということです。

では、保険会社はどのように過失割合を判断しているのでしょうか。過失割合の判断基準となるようなものはあるのでしょうか。

4.過失割合の判断基準

(1) 判断基準

多くの保険会社は、「民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準」(別冊判例タイムズN0.38 東京地裁民事交通訴訟研究会編著)を参考に過失割合を判断しています。

これは、過去の裁判例などを基に、様々な事故形態をパターン化し、それぞれのパターンに道路交通法の優先権や、運転慣行から基本的な過失割合の考え方を示したものです。

また、事故発生時の様々な状況や事情を考慮して過失割合を修正できるよう、「修正要素」が設定されています。

また、事故現場の状況や事故状況も千差万別ですので、「民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準」にはない事故態様の事故も発生することもあります。

そうした場合は、「民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準」にあるもののうち、近い事故態様の例を準用して判断することもありますし、過去の裁判例から近い事故状況のものを探し、その裁判例をもとに過失割合を判断するということもあります。

(2) 具体例

「民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準」にある具体的な例を2つほどご紹介させていただきます。

①対向の四輪車同士の事故、直進車・右折車ともに青信号で交差点に進入した場合

基本割合は直進車20%、右折車80%となっています。そこから修正要素があるかどうかを考慮して過失割合を判断します。

修正要素としては、直進車の時速15㎞以上(10%の加算修正)、25㎞以上(20%の加算修正)の速度違反といったものや、右折車の徐行なし(10%の減算修正)や合図なし(10%の減算修正)といったものもあります。

②歩行者と四輪車・単車との事故、信号交差点で歩行者が赤信号で横断開始、車両青進入

基本割合は歩行者70%、車両30%となっています。

修正要素としては、歩行者が児童(6歳以上13歳未満)、高齢者(65歳以上)の場合10%の減算修正、住宅街・商店街(人の横断・通行が頻繁な場所)での事故は10%の減算修正といったものがあります。

③駐車場の駐車場区画内(駐車スペース)における歩行者と四輪車との事故

基本割合は歩行者10%、四輪車90%となっています。

修正要素としては、隣接区画での乗降ありの場合10%の減算修正、歩行者が児童・高齢者の場合5%の減算修正となっています。

5.まとめ

過失割合を判断するためには、「民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準」をもとに判断をすることになります。

しかし、実際の交通事故が発生する状況は千差万別であり、個別の事情もありますので、上記基準をもとにしますが柔軟な判断も求められます。

過失割合の判断については専門的な知識も求められますので、交通事故の被害に遭われた方は、一度、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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