過失割合 [公開日]2020年5月21日

交通事故の過失割合8対2!2割の過失で揉めそうな場合

交通事故で怪我の治療後に示談交渉を開始したら、相手方の任意保険会社に「過失割合8対2」などといわれ、疑問を持った方の多くが弁護士事務所へ相談にいらっしゃいます。

被害者なのに、なぜこちらにも過失があると言われなければならないのか、なぜ損害賠償金が減ってしまうのか、と憤慨しているケースもあるはずです。

そこで今回は、交通事故の過失割合が8対2と保険会社に主張された被害者のために、知っておくべき内容を解説します。

1.過失割合の基本的な考え方

まずは、過失割合について理解していきましょう。

交通事故が起きたとき、どちらかが100%の加害者で、他方が100%の被害者というケースは確かに存在します。
しかし、多くの交通事故では双方の当事者に過失が認定されることが多いのが実情です。

しかし、それぞれにどのくらい過失があるのかを判断するのは簡単ではありません。当事者双方に言い分があるからです。

「自分は法律を守り走行していただけなのに、相手がぶつかってきたんだ!」という交通事故での揉め事は少なくありません。

そのため、双方が示談交渉で話し合い、合意できる過失の割合を決めていくことになります。

つまり過失割合とは、当該事故に対する各当事者の法的な落ち度の割合のことです。交通事故の場合は、道路交通法上の注意義務に違反していると過失割合が生じることになります。

それぞれが当該事故の発生に関し、どれくらいの責任があり、責任を分担すべきかを示談交渉で決めていくことになります。

過失割合は、損害賠償額にも大きく影響します。というのも、過失割合で算定された数字をもとに、全損害を割合に沿って振り分けていくためです。

例えば、全体の修理代や治療費で100万円の損害が交通事故で発生した場合、過失割合が6対4であれば加害者が60万円、被害者が40万円の損害に対する責任を負うことになるのです。

2.過失割合の決め方

では過失割合はどのようにして決まるのでしょうか?

多くの方が「警察が判断するものでこちらが争えるものではない」と考えていますが、実際は異なります。

あなたが被害者である場合には、相手方の任意保険会社が判断して被害者に伝えるのが一般的です。警察が事故時や事故後に過失割合を判断することはありませんし、その権限もありません。

一般的な過失割合の判断方法は、実況見分調書をもとに当該事故と似たケースを過去の事故例から探していくことになります。
過去の事故に関しては、判例が集約された本があり、その判例をもとに過失割合を決めていくのです。

「保険会社が警察の実況見分調書をもとに判断しているなら、誰が判断しても同じ過失割合になるのでは?」という意見もあるかもしれません。

しかし、実況見分調書に書かれている内容は変わらないものの、そこから過失割合を判断する際には保険会社の意向も含んだ上で判断しているケースがあります。
したがって、過失割合は交渉によって変わることもあるのです。

そして、個別事情によって全く同じ事例というものはないため、修正される事情によっては、過失割合が1割、2割と変わってくることがあるのです。

このように、過失割合は過去の判例をもとに判断していきますが、判断する際に保険会社の意向も含まれることがあるため、適正な過失割合が判断されていない可能性があります。

3.過失割合8:2の事例

過失割合が8対2だといわれてしまったら、どのような事例が8対2と判断されるのかを確認しておく必要があります。

過失割合8対2の事例はさまざまな判例があります。すべてをここに掲載することは難しいため、一例をご紹介したいと思います。

自動車対自動車の事例、自動車対人の事故事例について見ていきましょう。

【自動車対自動車の事例】

  • 信号機がない交差点(道路幅はほとんど同じ)で、減速せずに直進進入したAが減速して交差点に直進したBに衝突した事例(A8:B2)
  • 信号機がない交差点で、狭い方の道路から減速せずに交差点に直進した自動車Aが広い道路側から減速して直進してきたBに衝突した事例(A8:B2)

 

【自動車対人の事例】

  • 横断歩道のない交差点で幹線道路又は広路を直進した自動車Aが、道路を横断中の歩行者Bに衝突した事例(A8:B2)
  • 昼間に幹線道路ではない道路に寝転がる・座り込む等をしていた歩行者に自動車が衝突した事例(歩行者は児童や高齢者だった場合)(A8:B2)

過失割合8対2の場合、思っている以上に損失が大きくなる可能性があります。

「2割の過失なら仕方ない」と交渉せずに合意してしまう方もいますが、実際に損失がいくらになるのかを計算してからにすべきです。仮に500万円の損害なら、100万円もの損害賠償金を損することになるのです。

4.過失割合を適正に判断してもらうために被害者ができること

最後に、適正な過失割合を算出してもらうために被害者ご自身ができることをご説明します。

(1) 実況見分調書に気を付ける

先にお伝えした通り、過失割合の判断の基礎となるのが、警察が作成する実況見分調書です。これに被害者の意見との相違があれば、適正な過失割合を算出するのは難しくなってしまいます。

そこで、実況見分に応じる際は、以下に注意しましょう。

  • 客観的証拠をできる限り押さえておく
  • 不確かなことは供述しない
  • 病院搬送中に実況見分が行われたら、内容をよく確認する

まず、後で自分の主張を裏付けられるように、客観的証拠をおさえておきましょう。

例えば、事故現場や車両の傷ついた部分、タイヤ跡を撮影しておくことです。スマホのカメラでできるので、余裕があればしておきましょう。

また、事故時の状況は日々忘れていきます。スマホのメモ機能などを使い、メモして残しておくことも大切です。

実況見分の際、不確かなことは言わないようにしましょう。曖昧な供述をすると、自分に不利に働くこともあります。

なお、大きな事故であった場合、すぐに治療が必要であるため緊急搬送されるでしょう。この場合、実況見分は加害者だけでも実施されるのが通常です。

加害者だけの供述だと、被害者に不利な事実をもとに実況見分調書が作成されてしまうことがあるため、不満がある場合は押印を避け、別途実況見分を実施してほしい旨を主張しましょう。

[参考記事]

交通事故の供述調書・実況見分書とは?裁判の証拠にもなる!

(2) 納得できない場合は保険会社との交渉を続ける

過失割合が8対2の場合、交渉しても相手方が折れない場合は「もういいか…」と納得できないのに諦めてしまうことがあります。

交渉相手である保険会社は、何度も示談交渉を積み上げてきたプロです。相手の言い分に納得してしまうこともあるでしょう。

しかし、少しでも違和感や納得できないことがある場合は、交渉を続けるべきです。そして「交渉を続けても意味がないのでは?」と不安が生じたら、弁護士の意見を聞きましょう。

弁護士であれば100%依頼主、相談者の味方として、話を聞いてくれます。弁護士のアドバイスにより過失割合を下げられる要素があることが判明することもありますので、決して諦めないことが大切です。

[参考記事]

交通事故の過失割合|もめる・ごねる相手に納得いかない場合の対処法

5.過失割合でお悩みの方は弁護士へご相談を

過失割合が8対2といわれ、納得できない場合は交渉を続けてください。
とはいえ、ご自身で交渉を続けていく自信がない方も多いでしょう。

その場合は、すぐにでも弁護士に相談してください。
相手の過失が大きくなる事情や過失割合が低い別の判例を示せば、任意保険会社の態度も変わるかもしれません。

泉総合法律事務所の弁護士は、交通事故案件を数多く取り扱い、知識だけでなく経験やノウハウも豊富です。

個別ケースに応じた対応策をアドバイスいたしますので、損害賠償額で損しないためにも、ぜひ、当事務所の無料相談をご利用ください。

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