バイク(二輪車)と自動車の交通事故。事故死亡率が高い理由
【この記事を読んでわかる事】
- バイク(二輪車)の交通事故の特徴
- バイク事故の死亡事故率とその原因
- バイク事故から身を守るための対策方法
最近は、大型バイクの人気が高まっているようです。50cc以下のいわゆる原付バイクの保有者は減ってきていますが、251cc以上の大型バイクの保有台数はこの10年で200万台以上増えています。
バイクの運転には自動車とは違った爽快感があります。また自動車と違って交通渋滞に悩まされることもあまりありません。
その反面、バイクの運転には大きなリスクもあります。
自動車とは異なり、運転手は外部にむき出しの状態で運転しなければならないからです。
バイクで交通事故にあったときには、重大事故になってしまうことが少なくありません。
そこで、今回は、バイク事故の特徴についてまとめてみたいと思います。
1.バイクの保有台数
まずは、実際にどれくらいのバイクが保有されているのかを、自動車(乗用車)との比較で確認しておきましょう。
下のグラフは、日本自動車工業会のウェブサイトで示されているバイク(小型二輪・軽二輪・原付2種・原付1種)と乗用車(普通車・小型四輪車・軽四輪車)の登録台数についてまとめたものです。
【グラフ(バイクと乗用車の保有台数の比較)】
バイク全体の保有台数は減少していますが、これは原付1種(50cc以下)の保有台数が大幅に減っていることによるものです。
小型二輪(251cc以上)や原付2種(51~125cc)の保有台数は増加傾向にあります。
自動車は全体としては微増傾向にありますが、内訳としては、小型四輪車は減少傾向、軽四輪車は増加傾向にあります。
2.バイク事故の原因
バイク事故の多くは、「対自動車」との事故です。
バイク事故の原因としては、次のようなことがよく指摘されます。
- 前方不注意(ヘルメットや体勢により視界が狭い)
- すり抜け、無茶な追い越し
- 急ブレーキ(制動距離が自動車と違う)
- 死角に入りやすい
- バランスを崩しやすい
- 左折時の巻き込み事故
バイクを運転する際にはヘルメットを着用するため、自動車を運転するよりも視界は限られます。
運転の姿勢との関係で周囲を広く確認することが難しいこともあります。
さらに、渋滞時のすり抜け運転や、追い越しも自動車よりもたやすくできる反面、危険性も高くなります。
二輪車であるバイクは自動車よりもバランスも悪いので、ちょっとしたことが転倒などにつながることもあります。
また、自動車の運転手にとってもバイクは、「視認しづらい」、「挙動が異なる」といった点で厄介な存在と言えます。
左折時の巻き込み事故はバイクが死角に入ってしまう典型例ですし、バイクの運転手にとっては「いつもの動作」だとしても、運転したことがない自動車の運転手にとっては「予想外の挙動」と感じることも少なくありません。
3.バイクと自動車の事故の現状
バイクで事故を起こすとどうなるのか?ということについて、警察庁交通局が公表している「平成29年中の交通事故の発生状況」に基づいて確認しておきます。
なお、この統計資料は、下記ウェブサイト(政府統計)で入手することができます。
「政府統計の総合窓口・平成29年中の交通事故の発生状況」
バイクで事故を起こすと、構造上の理由で、自動車の事故よりも重大な事故につながることが少なくありません。
(1) バイク事故は死亡事故率が高い
【グラフ(交通事故による致死率の比較)】
上のグラフは、乗用車・自動二輪(51cc以上)・原付1種(50cc以下)の交通事故における致死率を比較したものです。
数値を見れば明らかなように、乗用車との比較では、3~4倍ほど死亡するリスクが高く、自動二輪の致死率が突出しています。
死者数で比較しても、乗用車の死亡者は、1,221人、自動二輪の死亡者数は448人です。
数としては乗用車の死亡者の方が多いですが、保有台数の差(乗用車約6,000万台、自動二輪約530万台)を考えれば、自動二輪の死亡率が高いことがよく分かります。
(2) 死亡原因
【グラフ(死亡原因(致命傷)となった損傷部位の比較)】
上のグラフは、自動車とバイクの死亡事故における致命傷となった部位の比較です。
バイク事故では自動車事故のケースに比べて、頭部の損傷が致命傷となることが多いのが分かります。
【グラフ(負傷事故における損傷部位の比較)】
次のグラフは、負傷事故における損傷部位を比較したものです。
自動車の負傷事故のほとんどは、頸部の損傷(むち打ちなど)です。
他方、バイク事故の場合には、自動車事故ではほとんど見られない腕や脚の損傷が多いことが際立っています。
(3) バイク事故から身を守るために
まず、バイク事故から身を守るためには、ヘルメットの着用は絶対に必要です。なお、バイク運転時のヘルメット着用は道路交通法で義務づけられています(道路交通法71条の4)。
違反しても反則金がない(違反点数は1点)からといって、ヘルメットを着用せずにバイクを運転することは非常に危険です。
また、腕や脚の保護のために、手袋やブーツを身につけて運転することが大切と言えます。夏場などでも半袖半ズボンといった軽装での運転は控えた方がよいでしょう。
厚手の服を着ているだけでも裂傷(皮膚の擦り傷)の程度をかなり軽減できる可能性があります。
(4) 万が一重大事故に遭ったときには弁護士に相談ください
ここまで解説してきたように、バイク事故は、重傷事故や死亡事故となることが少なくありません。
頭部の損傷は致命傷となることが少なくなく、一命を取り留めたとしても高次脳機能障害(詳しくは「交通事故で起こりうる後遺障害「高次脳機能障害」はどのような症状か」をご覧ください)を残してしまうこともあります。
頸部損傷では、全身不随や半身不随、腕や脚の負傷でも、損傷部位の切断や関節などの変形といった重大な傷害となることがあります。
交通事故の被害者となったときには、適切で十分な補償を受けることが大切です。
被害者自身が加害者(側の保険会社)と直接示談すると、十分な補償を受けられない場合もありえます。
特に、次のような場面でお困りのときには、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
- 相手方(保険会社)が提示する損害賠償額や過失割合に納得がいかない
- 相手方(保険会社)から突然「症状固定(治療費打ち切り)」を通告された
- 後遺傷害認定を受ける必要がある
4.まとめ
バイクの運転は、自動車の運転に比べて大きなリスクがあります。
日頃からきちんとした装備をした上で、安全運転を心がけることが何よりも大切です。
万が一、交通事故で重大な被害を受けたときには、できるだけ早く弁護士にご相談いただくことが、納得できる補償を確保することにつながります。
交通事故でお悩みの方は、お早めに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。当事務所では交通事故被害によるご相談を数多くお受けしており、その解決実績も豊富にございます。交通事故被害に詳しい弁護士も多数在籍しておりますので、安心してお任せいただけるかと思います。
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