交通事故弁護士 [公開日]2018年5月14日

道路交通法とは?運転者が注意すべき意外な規定や実際の運用

道路交通法とは?運転者が注意すべき意外な規定や実際の運用

【この記事を読んでわかる事】

  • 被害者、加害者、歩行者を保護する道路交通法の内容
  • 社会情勢等に応じて変化する道路交通法の沿革
  • 水たまり、ライト、クラクションなど、道路交通法の意外な規定

私達が日常生活を送るうえで意識していないにも関わらず、実は大きな影響を及ぼしている法律が『道路交通法』です。

道路交通法の第1条には、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」と書かれています。

自動車を運転する、自転車を使う、そして道を歩くときには、道路交通法が関係します。

しかし、私達の多くは、たとえ自動車免許を取得した後であっても、道路交通法についてあまり詳しくありません。

道路交通法にはどのようなことが書かれているのでしょうか?本記事でご紹介していきます。

1.道路交通法とは

道路交通法には、簡単に言って3つの目的があります。

  • 道路における危険の防止
  • 交通の安全と円滑
  • 道路交通による障害の防止

誰もが安全かつスムーズに道路を使えるよう、道路交通法にはさまざまなことが定められています。

代表例を以下にピックアップします。

(1) 歩行者の通行方法

歩道等と車道の区別のある道路では、一部の例外を除いて歩道等を通行すること」
「横断歩道がある場所の付近では横断歩道を使うこと」
「斜め横断は一部の例外を除いてしないこと」

など、多くの項目が意外と具体的に定められています。

(2) 車両および路面電車の交通方法

特に自動車学校などで多く学ぶ内容です。

「指定された最高速度を超えてはならない」

という速度制限に関する決まりは誰でも知っているでしょう。
他にも

「踏切前では一時停止して安全を確認してから通過する」
「急ブレーキをしてはいけない」
「前の車が急停止しても避けられるような車間距離を保つ」

など、細かいことまで法律で定められています。

また「停車中の路面電車がある場合は停止または徐行する」など、ケースに応じた内容も具体的に決められています

(3) 運転者および雇用者などの義務

運転する人に対する義務に加え、運転する人を雇っている人が守らなければならない義務が定められています。

飲酒運転・過労状態での運転・無免許運転の禁止や、安全運転をする義務などについて記載があります。

運転者本人にのみ義務を課すと、雇用者が運転者に無理な運転を強いて大事故に繋がるおそれがあります。

そういった事態を防ぐために、道路交通法では運転者のみならず雇用者側にも義務を設けているのです。

(4) 道路の使用

道路の使用に関する規定です。

交通の妨害になる、または交通に危険を生じさせるおそれのある道路の使用は禁じられていますが、社会的に価値があるものについては許可を得ることで可能になります。

例えば以下のような行為です。

  • 道路等の工事
  • 石碑、広告板、アーチ、ポストや電話ボックス等の設置
  • 場所を移動しないで道路に露天や屋台などを出店する行為
  • その他、祭礼やロケーション、マラソン大会などの行為

(5) 自動車および原動機付自転車の運転免許

運転免許の種類に加え、免許を取得できない人の要件や運転免許試験などについて定められています。

(6) 講習

軽微な違反をすると「違反者講習」を受けるように指示されることがあります。

この違反者講習に関する規定も道路交通法に存在します。

また、高齢者に対する講習や、自転車で危険な運転を繰り返した人に対する安全講習などについても定められています。

(7) 反則金制度

駐車違反や速度制限違反などをしたときに支払う反則金についても、道路交通法で定められています。

期日までに反則金を納付することで、違反行為については裁判所に訴訟を提起されなくなります。

逆に言えば、反則金を納めないと裁判所に訴訟を提起される可能性があるということです。

2.道路交通法の沿革

道路の交通に関する決まりについては、かつて道路交通取締法というものがありました。

しかし、戦後の経済発展によって自動車の普及が急速に広まり、交通事故の死亡者数が激増しました。

この状況を打開するために道路交通取締法が廃止され、道路交通法が制定されました。

道路交通法は社会情勢等に応じて年々改正を繰り返しています。どのように変わってきたのか簡単に見ていきましょう。

・1960年

道路交通法施行

・1963年

名神高速道路開通に合わせて、高速道路に道路交通法が適用される特別ルールが整備される

・1985年

シートベルトの着用が義務化される

・1991年

AT車の増加を受けて普通自動車免許にAT車限定免許が導入される

・1999年

携帯電話を使用しながらの運転で事故が増加したため、運転中の携帯電話の使用が禁止される

・2000年

6歳未満の子供を乗せるときにチャイルドシートの使用が義務化される

・2007年

「福岡海の中道大橋飲酒運転事故」による児童3人の死亡を受けて、飲酒運転に対する罰則が強化される

・2008年

後部座席のシートベルト着用が義務化される

・2013年

「鹿沼市クレーン車暴走事故」「京都祇園軽ワゴン車暴走事故」で病気の発作による交通事故が連続して発生し、計14人もの命が失われたことを受けて、運転に支障のある疾患のある者が運転免許取得時または更新時に虚偽申告したこと対する罰則が強化される

・2015年

自転車が関係する重大な交通事故が増加したことを受けて、自転車の運転に関する規定が改正される

・2017年

高齢者の運転による事故が増加したことを受けて、75歳以上の者が免許を更新する際に認知機能の検査が行われるようになる

以上から、道路交通法はその時代に発生した事件や事故に対応するために更新されてきたことがわかります。

なお、痛ましい交通事故が発生したときに適用の可否が話題になる「危険運転致死傷」は道路交通法の規定ではありません。

1999年に発生した東名高速飲酒運転事故や、2000年に発生した小池大橋飲酒運転事故などの影響で2001年に「刑法」に新設されました。

その後、刑法にあった「自動車の運転により人を死傷させる行為」に対する刑罰規定は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)」として独立し、危険運転致死傷罪も自動車運転処罰法の中に規定されるようになりました。

3.意外と知らない道路交通法

ここからは、一般人には意外と知られていない道路交通法の規定や実際の運用をご紹介します。

(1) 制限速度

誤差1割ほど制限速度を超過して運転しても、基本的に取り締まりの対象になりません。

また、自転車には最高速度の制限がありませんが、下り坂などであまりに高速運転をしている自転車は危険運転をしているとみなされて取り締まりの対象になる可能性があります。

(2) クラクション

進路上にいる歩行者等に道を開けさせる目的でクラクションを鳴らすドライバーがいますが、原則的に警笛区域以外でクラクションを鳴らすのは禁止されています。

クラクションは見通しの効かない場所で自分の存在を他の車に伝えるために、警笛区間内で鳴らすものです。

違反すると罰金ですし、クラクションを鳴らされた人が腹を立ててトラブルに発展する可能性があります。

例外として、危険を防止するためにやむを得ないときにはクラクションの使用が認められています。

(3) エンジン、鍵、窓について

以下の行為は禁止されています。

  • エンジンをかけたまま放置
  • 鍵をつけたまま放置
  • 窓を開けたまま放置

道路交通法では「他人に無断で運転されることがないようにするために必要な措置を講ずる」義務がドライバーに課せされています。

上記の行為はこの義務に違反していることになり、罰則の対象となります。

(4) ライト

原則的にはハイビームを使用し、歩行者や対向車とすれ違うときにはロービームに変更します。

ハイビームは「走行用前照灯」、ロービームは「すれ違い用前照灯」という扱いです。

ハイビームのみ、またはロービームのみで運転を続けると違反になります。

(5) 高速道路

追い越し車線をずっと走るのは違反です。追い越し時のみ追い越し車線を使うようにしましょう。

また、高速道路には最高速度だけでなく最低速度も設定されており、50キロ以下で走行すると罰金の対象になります。

周囲が高速で走行しているなか、低速で走行していると却って危険なのでこういった規定があるようです。

(6) 水たまり

水たまりなどを走行する際に、水を撒き散らして他者に迷惑かけると違反になります。

水たまりを通過するときは徐行などをして水を跳ね飛ばさないようにしましょう。

例外として、道路に明らかな欠陥があって水を撒き散らした場合には、道路の管理者である行政側に損害賠償を請求できることがあります。

4.まとめ

道路交通法は事故を防止し、安全かつ円滑な交通を実現するための法律です。

自動車を運転するときは、事故を起こさないことはもちろん、道路交通法に代表される各法令を守って安全運転を心がけてください。

しかし、どんなに気をつけても、相手から突っ込んで来るような事故に遭うことがあります。

万が一交通事故に巻き込まれた場合は、交通事故に詳しい泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。

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