慰謝料・賠償金 [公開日]2018年5月15日[更新日]2019年10月17日

交通事故の慰謝料はいつ支払われるのか?

【この記事を読んでわかる事】

  • 交通事故後、慰謝料はいつ支払われるのか?
  • 保険会社が提示した慰謝料金額に納得がいかない場合はどうするべき?

交通事故被害に遭ってしまった場合、怪我の治療や入院で予想外に出費がかさんでしまいます。
その費用に充てるためにも、被害者側からしたら一刻も早く慰謝料を支払ってほしいと思うことでしょう。

しかし、交通事故の慰謝料は事故後すぐに支払ってもらえるものではなく、怪我の状態によっては支払いが1年以上先になってしまうこともあります。

今回は、交通事故の慰謝料が振り込まれるまでの期間について解説します。
慰謝料をいつもらえるのかという不安を抱えながら生活をしている交通事故被害者の方は、是非ご一読ください。

1.慰謝料はいつ振り込まれるのか

早速ですが、事故発生後、慰謝料支払いまでの期間はどれくらいになるのでしょうか。

(1) 示談交渉の期間は示談開始から3ヶ月が基準

交通事故の慰謝料は、被害者と加害者側の示談がまとまってから支払われます。

示談から支払いまでの期間ですが、一概に○ヶ月と言うことはできません。それぞれの事故のケースによって事情が異なるためです。

もっとも、争点がなかったり、損害額自体がそれほど高額でなかったりすれば、示談交渉を開始してから入金があるまでの期間の目安として3か月を基準に考えると良いでしょう。
※ここでいう示談交渉開始とは、簡単に言うと治療が終了し、後遺障害認定手続きを経た後、請求書を作成し送付する段階のことです。あくまで、事故発生からではない点にご注意ください。

以下、示談までの期間を状況別にご説明します。

①軽い事故だった場合

過失割合に争いがなく、怪我の状態も軽度のむち打ちなどで軽い場合には、交渉が早く進みます。

この場合、交渉を開始してから3ヶ月以内に解決できるケースが多いといえます。

②過失割合に納得できない場合

過失割合に争いが出ている場合は、交渉を開始してから3ヶ月以上の期間がかかると考えられます。

過失割合とは、当該交通事故における責任の割合のことです。事故状況とこれまでの裁判例などをもとに、加害者・被害者のどちらにどれくらいの責任があるのかを判断します。

保険会社が提示してきた過失割合に納得がいかないと、示談交渉が長引いてしまいます。

[参考記事]

交通事故の過失割合|もめる・ごねる相手に納得いかない場合の対処法

③後遺障害が残った場合

後遺障害とは、交通事故の後遺症のうち、後遺障害等級の認定を受けられる程度のものを指します。

通常の治療後、これ以上治療しても良くならないとされる「症状固定」の判断を受けた場合に、後遺障害等級認定の申請をすることになります。そして、申請後に認定される等級によって、後遺障害慰謝料等の額が変わります。

後遺障害が残ってしまった場合は、治療期間だけで最低6ヶ月程度期間を要します。さらに、後遺障害認定手続きを経てから、示談交渉を開始することになります。

示談交渉開始後も、内容によっては逸失利益の額や期間などの争いも生じますので、支払いまでの期間はがさらに延びてしまいます。

[参考記事]

後遺障害等級とは?認定機関による認定方法とその流れ

このように、過失割合に争いがある場合や、後遺障害が残るほど怪我の程度が重い場合には、示談成立までの道のりが長くなります。

この2つの要因以外でも、被害者が任意保険会社の提示する損害賠償額に納得できずに裁判となったら、さらに長引いてしまう可能性があります。

(2) 示談成立から慰謝料支払いまでの期間

次に、示談成立から支払いまでの期間についてご説明します。

①加害者が任意保険会社に加入している場合

加害者が任意保険会社に加入している場合は、示談成立から支払いまでが比較的スムーズに行われます。
具体的には、示談が成立し、免責証書などの事件解決の証となる書面が到着してから、後3~4営業日以内に保険会社から指定口座に振り込まれるのが一般的です。

ただし、保険会社によっては手続きに時間がかかることもあり、1週間程度かかってしまうこともあるようです。相手方にも代理人がついていた場合には、さらに時間がかかる場合もあります。

②加害者が任意保険に未加入の場合

加害者が任意保険会社の保険に加入していない場合は、加害者と直接交渉することになります。

直接交渉後、示談成立した場合には、示談の取り決めにある期日に振込みが行われることになります。そのため、振り込まれる期日は、加害者との交渉で決めることができます。

損害賠償は一括支払いが原則ですが、加害者に資力がない場合は分割支払いを許すほかありません。
この場合は、年に数回決められた期日に振り込まれます。

しかし、実際には保険未加入の加害者のほとんどが資力を持っておらず、支払い自体が困難というケースもあります。

加害者に支払い意思がない場合、あるいは支払い能力がない場合は、加害者の自賠責保険に被害者請求(自賠責法16条)をすることで、損害賠償金の一部を回収することが可能です。

また、ご自身が加入している保険や労災、政府保障事業による補償を受けることも考えられます。

詳しくは、以下のコラムをご覧ください。

任意保険未加入事故の被害者に…。損害賠償は受けられるか?

[参考記事]

任意保険未加入事故の被害者に…。損害賠償は受けられるか?

なお、当事務所では、加害者が任意保険会社未加入の場合のご相談につきましてはお取扱いしておりません。恐れ入りますが、何卒ご容赦ください。

2.交通事故慰謝料の支払いまでの流れ

次に、交通事故発生から慰謝料が支払われるまでの流れをご説明します。

(1) 交通事故発生、警察・保険会社へ連絡

交通事故が発生したら、通常、第一にしなければいけないことは、怪我人が出ていないかを確認して必要ならば救急車を呼び、相手(加害者)の身元を確認することです。

その後は、警察に通報をします。自分でできない場合は、周囲に助けを求め、警察に通報してもらいましょう。

到着した警察による事情聴取・実況見分が終わった段階で、保険会社に事故通知の連絡を行います。

(2) 示談交渉

任意保険に加入している加害者は、保険会社にその後の事故に関する交渉を任せることになります。
被害者側の保険会社は原則示談交渉に出てきませんので、被害者はご自身で相手方保険会社と交渉することになります。

加害者側の保険会社が行うことは、事故の内容を確認し、被害者との示談を行うことです。

被害者が入院中、または怪我の治療中の場合は、示談交渉はできません。なぜなら、治療段階では治療費や慰謝料などの全ての損害額が確定しておらず、示談の話し合いの前提となる金額の交渉ができないからです。
そのため、原則として治療完了まで待つことになります。

早く示談を完了させたいがために焦って治療をやめてしまう方もいらっしゃいますが、これはおすすめできない対処法です。
満足に治療を行わないと後遺症が残ってしまう可能性がありますし、治療を打ち切ってしまうことにより正当な額の入通院慰謝料を受け取れない可能性があるためです。

治療が終了した段階で、示談交渉が開始します。
後遺障害が残ってしまった場合には、自賠責保険に後遺障害申請をし、後遺障害の等級が決まってから示談交渉を開始します。

[参考記事]

交通事故と保険会社|解決までの流れ、任せきりではいけない理由

(3) 損害賠償の確定、保険金の支払い

示談内容に被害者・加害者(または保険会社)の双方が納得した段階で、示談が成立します。
示談の内容に納得できない場合には、調停や裁判に移行します。

示談が成立、あるいは裁判が終結すれば、損害賠償額が確定します。この後は、支払いの段階に移行します。
示談書等で履行期日が定められているため、この内容に沿って支払いが行われることになるでしょう。

以上が、交通事故発生から慰謝料支払いまでの流れです。

示談交渉では、保険会社からの納得いかない提案に苛立ってしまうこともあるかもしれません。あるいは、「いつになったら支払われるの?」と焦ってしまうこともあるでしょう。

しかし、適正な損害賠償額をもらうためには、焦って同意しないように冷静に対処することが大切です。

【慰謝料=示談金ではない】
慰謝料と示談金とを混同されている方がいらっしゃいますが、これらは厳密には異なります。
具体的には、慰謝料は示談金の1つです。示談金は、交通事故に関するすべての損害に関する金額の総称ですが、慰謝料はこのうちの一部でしかないということになります。
慰謝料とは、交通事故被害に遭ったこと、ケガを負ったこと等に対する精神的・肉体的空痛に対する償い金のことです。
修理費や治療費などは、かかったすべてを加害者が負担してくれますが、被害者が苦しんだ気持ちはここには含まれていません。そこで、治療費や入院費、修理費などとは別に精神的苦痛に対する償い金を「慰謝料」として請求することができるようにしたのです。

3.提示された慰謝料に納得がいかない場合

任意保険会社は、任意保険会社による算定基準で損害賠償額の提示をしてきますが、保険会社にとって有利な金額となっていることが多いです。

よって、保険会社が提示してきた慰謝料額に被害者が納得できないことはよくあります。

「早く慰謝料を受け取りたいけれど、提示された慰謝料額に納得できない」「保険会社に対してどう対応したら良いか分からない」……そんなお悩みをお持ちの方は、交通事故の案件に精通した弁護士にご相談ください。

任意保険会社との交渉は、すべて弁護士に任せることができます。また、弁護士は過去の判例に則った基準で慰謝料額を算出するため、保険会社が提示する慰謝料額よりも大きく増額して示談をすることができる可能性があります。

交通事故を数多く扱う弁護士であれば、知識だけでなく経験も豊富ですので、個別ケースに応じて、最適な解決策をご提示できるでしょう。

4.慰謝料が振り込まれるまで不安がある場合は弁護士へ相談を

交通事故案件の早期解決、正当な慰謝料の獲得をご希望の場合は、泉総合法律事務所にお早めにご相談ください。

正当な慰謝料獲得のため、治療段階からのアドバイス・後遺障害認定の申請のサポート・保険会社との示談交渉など、様々なお手伝いをさせていただきます。

初回相談は無料となっておりますので、交通事故の慰謝料に関して不安がある方は、どうぞお早めにご相談ください。

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