後遺障害 [公開日]2021年6月11日

交通事故で肩が上がらない|肩腱板断裂の等級

交通事故の際、車を運転中に腕を真っ直ぐにした状態で急ブレーキをかけたり、バイク事故で転倒の際に手をついたりすると、肩や腕に相当な負荷がかかります。

これが原因で肩や腕の神経、筋肉、骨などを痛めると、治療を続けても可動域が制限されたり、痛みや痺れが残ったりすることがあります。

このような後遺症が残った場合は、後遺障害認定を受けるべきです。等級認定されることにより、後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金を加害者側に請求できます。

今回は、交通事故で腕・肩が上がらない場合の後遺障害等級認定について解説します。

1.肩や腕が上がらない場合の後遺障害等級

交通事故の衝撃で肩を打ち付けた場合や、腕に負荷がかかるような体勢で事故に遭った場合には、肩・腕の組織(肩腱板など)を損傷してしまうことがあります。

まずは、肩や腕が上がらない症状が残ってしまった場合にどのような等級が獲得できる可能性があるのかを見ていきましょう。

(1) 肩や腕が上がらない理由

何級が認定され得るかの話をする前に、症状の理由(肩や腕が上がらない実際の原因)を知っておくことが必要です。

肩周辺に強い負荷がかかってしまうと、肩だけでなく腕に関わる筋肉や骨・筋組織にも影響を与えるため、腕が上がらない、上げると強い痛みや痺れが生じる、という症状が発生します。

腕が上がらない具体的な理由としては、骨折や脱臼、腱板損傷が主な原因となるでしょう。

骨折する部位としては、鎖骨、肩甲骨、上腕骨が挙げられます。これらの部位が折れてしまうと腕が上がらない症状が出てきます。

脱臼の場合、肩関節の脱臼と肩鎖関節の脱臼が考えられますが、肩と腕、肩と鎖骨を繋ぐ関節が外れた場合や靭帯を損傷してしまった場合に、肩や腕が上がらなくなります。

腱板損傷は、正確には4つの部位がありますが、棘上筋を傷めることで腕を上げることが困難になるという症状が出やすいようです。
腱板損傷の場合、軽い炎症から重度の断裂まで程度が異なります。

(2) 症状別の等級

交通事故では、症状固定(医学的に見てこれ以上治療を続けても良くならない状態)となっても残った症状につき、後遺障害認定を受けることになります。

「肩・腕が上がらない」症状の場合、さらに内容を詳細にすると、以下のような症状に分けることができます。
(数字が少ないほど重症とされ、受け取れる賠償金が大きくなります。)

  • 可動域制限:8級、10級、12級
  • 変形障害:7級、8級、12級
  • 神経症状:12級、14級

可動域制限

関節の機能が落ち、一定の範囲でしか動かせなくなってしまいます

事故前と比べてほとんど腕が上がらなくなったという場合は8級、50%以下なら10級、75%以下となった場合には12級が認定されるでしょう。

変形障害

骨が正常に繋がらず、偽関節(癒合不全)や変形が残った状態を指します。

偽関節に加え硬性補装具を常に必要とする場合で7級、偽関節が残ってしまった場合は8級、15度以上の上腕骨の変形の場合や鎖骨骨折後の変形が見た目にわかるほど残った場合は12級が認定されるでしょう。

神経症状

骨折や脱臼などの怪我は完治したにも関わらず、痛みや痺れが残ることを指します。

この場合、骨折の跡などが残っていて医学的他覚所見がある場合、12級が認定される場合があります。

もっとも、大多数は医学的他覚所見がないため認定が難しいこともありますが、この場合でも「客観的な証拠」に基づいて自覚症状についてしっかり説明することができれば14級が認定されるでしょう。

このように、腕が上がらない症状の場合、その症状の具体的な内容によって獲得できる等級は異なってきます。

2.後遺障害認定のポイント

交通事故で後遺症が残った際に正確な等級で認定をされるには、押さえておくべきポイントがあります。
以下の点を蔑ろにすると希望の等級が認定されずに受け取れる賠償金が減ってしまうこともありますので、ご注意ください。

(1) 検査内容に注意

肩や腕が上がらない場合に特に気をつけたいのは検査内容です。

事故後にはそれほど大きな痛みがなくレントゲンを撮っただけで済ませてしまったというような場合は、他にも検査を受けた方が良いでしょう。
最初は「打撲」と診断されたケースでも、後の検査によって「腱板損傷」と認定されることもあります。

適切な診断名がつかないと、適切な後遺障害等級も認められない可能性があります。診断名をはっきりとさせるためにも、必要な検査を受けることは重要です。

肩、腕が上がらない場合に受けるべき検査としては、以下が挙げられます。

  • レントゲン検査
  • 医師による視診、触診
  • 可動域計測
  • 徒手筋力テスト
  • MRI検査

骨折や脱臼の場合はレントゲン検査をすれば診断できますが、腱板損傷の場合はMRI検査が必要です。

他にも、医師によって肩の状態を目と手で確認してもらう方法や、可動域が狭くなっていないか確認してもらう検査ができます。筋肉評価をするための徒手筋力テストもあります。

どの検査を受けるべきかはその時の状態によっても異なりますが、医師の見立てよりも治癒が遅い場合などは、他の検査も受けてみたいとご自身で主張することが大切です。

(2) 通院先や頻度

検査だけでなく、通院の際にも気をつけるべきこともあります。具体的には以下の通りです。

  • 整骨院ではなく整形外科に通うこと
  • 整骨院、接骨院に行く場合は医師の許可をとること
  • 定期的な通院を継続すること

交通事故では「医師」による診断が不可欠であり、特に事故後すぐに医師による診察がなかった場合には、後に症状が酷くなったとしても事故との因果関係が否定されてしまうことがあります。

整骨院や接骨院には医師はいないため、診断書を書くことはできません。また、上記のような検査も受けることができないため、最初に受ける治療としては不適切です。初回は必ず整形外科に行くようにしましょう。

また、整形外科に通院中の場合でも、整骨院や接骨院に通いたい場合には主治医の許可を得るようにしてください。

整形外科と整骨院の同時通院|適正な交通事故慰謝料のために

[参考記事]

交通事故で整形外科と整骨院の同時通院は可能?

さらに、定期的に通院することも重要です。診察を定期的に受けるようにして、医学的な管理をしてもらってください。

症状は、治療を続けているうちに少しずつ和らぐのが一般的です。すると、ある程度痛みが引いた段階で通院をやめてしまう人がいます。

しかし、途中で治療を中断して、期間がしばらく空いてしまうと、後遺障害が認められないだけでなく、入通院慰謝料も少なくなってしまうことがあります。無理に必要のない治療は受けるべきではありませんが、症状が残る間はきちんと病院に通うべきです。

なお、症状があるうちは3日に1回程度の受診が基本ですが、原則として医師の指示に従うようにしましょう。

3.後遺障害認定で非該当になってしまったら

「肩や腕が上がらない」という症状の場合、レントゲン等の画像所見から原因が明らかでないケースでは、後遺障害が非該当となってしまうことがあります。
その理由としては、以下の通りです。

  • MRIでも判断できない症状がある
  • 事故態様と症状に因果関係がないと判断される

腱板損傷の場合、レントゲン検査だけでは判断できないためMRI検査が必要になります。しかし、 MRI検査を受けても、断裂しているか不明確、断裂がないと判断されたら、「腱板損傷」という診断名もつかないことがあります。

また、仮に腱板損傷という診断名がついても、事故態様に明らかな原因(肩を直接打撲した、衝突の衝撃で肩に相当な負荷がかかった等)がない場合には、事故との因果関係が認められず、非該当となることもあります。

例えば、単なる追突事故でも腱板損傷の傷病名がつく場合がありますが、その場合は容易には後遺障害として認められません。「交通事故によって」生じたと立証できることが大事なのです。

これら以外でも、自覚症状を認定するための客観的な医学所見がない、通院回数が少ないなどの理由でも非該当になってしまうことがあります。

しかし、非該当となってしまった場合でもすぐに諦める必要はありません。この場合、異議申立てをすることにより再度審査を受けることが可能です。

異議申立ての際には、後遺障害認定に詳しい弁護士に初回の申請内容を確認してもらい、等級が認められる内容に上書きをする必要があります。

詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

後遺障害認定の異議申し立てとは?

4.後遺障害等級認定は弁護士に相談を

後遺障害認定を受ける場合には、交通事故事案の経験が豊富な弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所では、非該当結果となった事案でも異議申し立てでご希望の等級獲得の実績が多数あります。
交通事故で肩や腕が上がらない、適切な等級で認定を受けたいという方は、ぜひ当法律事務所の弁護士にお任せください。

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