過失割合 [公開日]2022年2月28日

交通事故の過失割合が7対3の場合の賠償金計算

交通事故の損害賠償問題で争点となりやすいのが「過失割合」です。

加害者側の保険会社から、「このような事故の場合は、被害者であるあなたの側にも3割の過失が認められ、過失割合は『7対3』と決まっています」などと当然のように告げられるケースがあります。

これは、どのような意味なのでしょう?
また、過失割合「7対3」となると、損害賠償金は、どのように計算されるのでしょうか?

この記事では、過失割合とは何かの基本について説明し、過失割合の決め方、「7対3」とされた場合の計算方法、反論する方法などについて解説します。

1.過失割合による賠償金への影響

(1) 過失割合とは何か?

交通事故では、加害者が損害賠償義務を負担するものの、多くの場合、被害者にも何らかの落ち度があります。

公平の観点からは、加害者と被害者、双方の落ち度に応じ、発生した損害を分担させるべきです。

これが過失相殺であり、当事者の分担割合を過失割合と呼びます。

(2) 過失割合による賠償金額の変動

例えば、自動車Aと自動車Bが衝突して、どちらの車も破損し、自動車Aは100万円、自動車Bは200万円の修理代がかかったとしましょう。

仮にA側の過失割合が「0」で、B側の過失割合が「10」であったなら、AはBに100万円を請求できる一方、Bは自分の損害200万円をAに請求することはできず、自腹となります。

したがって、この事故全体の損害額である300万円は、その全額「10」割をBが負担するわけです。

もしも、A側の過失割合が「3」で、B側の過失割合が「7」であったなら、Aは自分の損害の3割(30万円)は自腹で負担しなくてはならず、Bには70万円を請求できるだけです。

他方、Bは自分の損害の7割(140万円)は自腹で負担しなくてはならず、60万円をAに請求できるだけです。

したがって、この事故全体の損害額である300万円は、Aが30万円+60万円=90万円、Bが140万円+70万円=210万円と配分して負担することになります。

このように過失割合は、損害賠償額の全体に対する割合ですから、損害額が大きいほど、過失割合の影響は大きなものとなります

損害額100万円の事故では過失割合1割の違いは10万円に過ぎませんが、例えば死亡事故のように損害額が1億円を超えるようなケースでは、過失割合1割の違いは賠償金1000万円の違いとなるのです。

交通事故における過失相殺について|損害賠償に大きな影響

[参考記事]

交通事故における過失相殺とは何か?わかりやすく解説

(3) 過失割合の決まり方

では、この過失割合は誰が、どのようにして決めるのでしょう?

過失割合は損害賠償をめぐる「民事問題」ですから、民事には不介入である警察が決めるものではありません。
過失割合が決まるのは、次の各場面です。

  • 被害者と加害者側(加害者の保険会社を含む)による話合い(示談交渉)で、双方が合意して決めるケース
  • 裁判所の民事調停や民事訴訟における和解交渉で、調停委員や裁判官を仲介役として、被害者と加害者側が話合いをして、双方が合意して決めるケース
  • 話合いでは決まらず、民事訴訟の判決で、裁判官が決めるケース

つまり過失割合は、まずは当事者の話合いで合意して決めるものであり、合意できなければ最終的に裁判官が決めるものなのです。

もっとも、合意や判決で決めるといっても、何らかの目安がなければ場当たり的な解決になってしまい不公平ですし、争いが紛糾するだけです。

そこで、過失割合を定めた法律はないものの、弁護士や裁判官の団体から、過去の裁判例などを参考とした基準が公表されています。

実務のスタンダードとなっている基準は、東京地裁民事交通訴訟研究会のまとめた「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版」(別冊判例タイムズ38号)です。

他にも、通称「赤い本」と呼ばれる「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部)なども有名です。

これらの本では、交通事故をその態様別に分類して基本となる過失割合を定め、さらに個別の細かい事情(「修正要素」と呼びます)に応じて割合を調整する方式を採用しています。

過失割合を調べるには、まず実際の事故があてはまる事故類型を探して基本割合を確認し、さらに個別の修正要素による調整が可能かどうかを検討することになるのです。

2.過失割合が7対3の場合

過失割合が「7対3」の場合の賠償金額の計算方法は既に説明したとおりですが、どのようなケースで「7対3」とされるのか、自動車対自動車で具体的に7対3になる事故のうち、できるだけ単純なケースをご紹介します。

同一方向に走行する自動車同士の追突事故を見てみます(※前記「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版」293頁以下)。

先行するA車(先行車)に、後ろを走行していたB車(後行車)が追突したというケースでは、基本の過失割合はA車「0」B車「10」です。

ただし、追突事故の中には、先行車が急ブレーキをかけたことが原因で生じたケースもあります。

もちろん、子どもの飛び出しなど、先行車が何らかの危険を避けるために急ブレーキをかけた場合には、先行車には何らの落ち度もありません。

しかし、例えば助手席の者に「景色の写真を撮りたいから、ちょっと止めて」などと言われて、つい慌てて踏んだ急ブレーキだったとしたらどうでしょう。

この場合、「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」(道路交通法24条)という急ブレーキ禁止の義務に違反したことになります。

そこで、このように不要な急ブレーキに起因する追突事故では、基本の過失割合は、先行者「3」、後行車「7」とされています。

3.過失割合7対3の事故の被害者になった場合にするべきこと

(1) 修正要素の検討

さて、このように基本の過失割合が決まったとしても、そこからさらに修正要素を検討しなくてはなりません。

例えば、あなたが先行車の運転手で、不要な急ブレーキをかけてしまったことは認めざるを得ないとしても、例えば後行車に速度違反があったなら、当然、その過失割合を加算するべきです。
後行車の速度違反が時速15キロ以上のときは「1」加算、時速30キロ以上のときは「2」加算です。

また、事故現場が住宅街や商店街である場合も、後行車の過失割合は「1」加算されます。
人の往来の多い住宅街や商店街では、歩行者の危険を避けるため、結果的には不必要だった急ブレーキをかける事態や、商品の配達や買い物などのために停車することも多いことから、後行車は、急ブレーキもあり得ることを予測しておくべきだからです。

このように事故の類型から、基本の過失割合が決まったとしても、修正要素の存在を主張して、さらに適正な過失割合を目指すべきです。

(2) 過失割合を交渉で修正

示談交渉で加害者の保険会社が提示する過失割合は一方的な言い分に過ぎませんし、適正な内容とも限りません。
支払う保険金額を抑えるために、加害者の過失割合を少なく主張するのは、保険会社としては当然です。

したがって、その言うままに過失割合を受け入れてしまうと、本来、もらえたはずの適正な賠償金を受け取れなくなってしまう可能性があります。

適切な過失割合なのかどうかをきちんと吟味し、不当な過失割合の主張には反論しなくてはなりません。当事者の交渉で決まる以上、言うべきことを言わなければ、当然の権利を実現することはできません。

ただ、毎日、示談交渉を行っている保険会社担当者と被害者では、交通事故の損害賠償をめぐる法的知識と交渉経験に隔絶した差があります。どんなに反論しても、保険会社の主張を撤回させ、譲歩させることは事実上、難しいのが実情です。

この場合、交通事故事件に強い弁護士を依頼し、代理人として示談交渉を担当してもらうべきでしょう。

正しい過失割合の主張が保険会社に受け入れられない場合は、訴訟を提起して裁判官に適正な過失割合を決めてもらうことが切り札となります。

ただ、一般の方にとっては、訴訟提起に踏み切ることは大ごとですから、保険会社は、実際に訴訟が起こされない限りは加害者側の主張を曲げることはありません。

しかし、弁護士が代理人となれば、交渉がまとまらなければ、訴訟に移行し、保険会社の主張が通らないことは容易に見越すことができますから、保険会社としても、示談交渉の段階で弁護士の主張に耳を傾けない訳にはいかないのです。

4.過失割合に納得いかないなら弁護士へ

交通事故の専門知識がないまま、保険会社の担当者と交渉をすることは無謀と言えます。
交通事故事件の経験豊富な弁護士を代理人として、適正な過失割合を保険会社に認めさせましょう。

過失割合の問題でお悩みの被害者は、当事務所にご相談ください。

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