交通事故弁護士に相談・依頼する前の準備・コツ・マナー
交通事故の被害者となってしまった際には、事故情報の把握や加害者情報の収集、警察に対する連絡(人身事故の届出)に始まり、事故による怪我の治療・通院、相手方保険会社との示談交渉、後遺障害認定の申請など、やるべきことがたくさんあります。
このような交通事故被害者の方にとって、弁護士は非常に頼りになる存在です。
弁護士に依頼をすることで、賠償前の治療中の段階から交渉の下準備を適切にすることが出来る・保険会社との示談交渉を任せられる・慰謝料の増額が見込める・後遺障害認定を適切に受けられる可能性が上がるなど、様々なメリットを受けられます。
[参考記事]
交通事故について弁護士に依頼するメリット・デメリット
とは言え、弁護士はどうにも敷居が高いと感じられるようで、いざ実際に弁護士と対面して相談するとなれば、緊張したり、怖いと感じてしまったり、準備やマナー(服装など)に関して不安になったりすることでしょう。
弁護士に交通事故について初めて相談・依頼する際には、事前に何か準備しておくべきことはあるのでしょうか。また、相談を有意義に行うためのコツやマナーはあるのでしょうか。
1.弁護士に相談する前にまとめておくこと
弁護士に相談できる時間には限りがありますので、適切な資料やメモを準備して相談に臨むことが、有意義な法律相談を行うためのコツと言えます。
まず、交通事故の法律相談において弁護士の知りたいポイントは、概ね以下の3点になります。
- 事故の状況に関すること
- 事故による怪我及び治療の状況に関すること
- 損保との交渉に関すること
これらを弁護士に把握してもらうためにも、個人的に話したいことのメモに加え、以下のようなものを準備しましょう。
なお、以下に提示したものを全て準備する必要はありませんし、準備できないからといって弁護士に相談できないというわけでもありません。あくまで、相談時間を有効に活用するため準備です。
相談日を決める際に、具体的にどのような資料の持参が必要か、弁護士事務所に直接聞いてみましょう。
(1) 事故に関する資料
弁護士は、法律相談の際に相談者から事実関係を聴取する際、必ず、聴取した事実についての証拠の有無を確認します。
それは、保険会社との交渉や裁判において、証拠の有無は決定的に重要になるからです。
そこで、法律相談の際には、交通事故に関する以下の資料を持参できるとよいでしょう。
交通事故証明書
交通事故に関する保険金請求の手続に必要となる書類で、事故の概要が記載されています。
事故を警察へ連絡した後、自動車安全運転センターにおいて交付してもらうことができます。
[参考記事]
交通事故証明書の内容・取り方・後日届け出る場合の注意点
事故発生状況報告書
保険金請求に必要となる、事故状況について説明する書面です。
基本的には、この書面に記載された事故状況に照らして、保険金の支払における過失割合の有無・割合を特定します。
実況見分調書とは、警察の事故現場や事故状況の検証の結果を記録した書類です。罰金などの刑罰が科されている場合のみ、被害者本人でも取得は可能です。
ただし、大抵は処分が出るまで時間がかかることの方が多く、不起訴のケースもありうるので、弁護士に依頼した後に、弁護士を通じて取得することの方が多いでしょう。
参考:交通事故の供述調書・実況見分書とは?裁判の証拠にもなる!
(2) 治療に関する資料
事故による怪我とその治療状況を確認するため、以下の資料もできれば準備しましょう。
- 診断書
- 後遺障害に関する資料(後遺障害等級認定票・後遺障害診断書)
治療に関する上記の資料のうち、診断書と診療報酬明細書については、治療費の支払の関係から保険会社が所持していることが通常ですから、必ずしも持参する必要はありません。ただ、警察提出用の診断書のコピーがあると、初期の傷病名を確認できて有益です。
なお、後遺障害に関する資料は、事故直後の相談や治療段階での相談時点ではそもそも存在しませんので、この段階での相談の際には考えなくてよいでしょう。
後遺障害診断書は治療をしばらく受けた後に症状固定(これ以上治療しても症状が良くならないとされる状態)とされてから、作成されるものです。これは、後遺障害認定の際に必要となるものです。
後遺障害等級認定票は、自賠責に後遺障害診断書その他後遺障害に関する書類を送付し、自賠責から認定された結果が記載されたものです。たとえば異議申立てを依頼したい場合、交渉を依頼した場合には必ずお持ちください。
[参考記事]
被害者請求(後遺障害申請)で必要となる書類
(3) その他の資料
各種領収書
各種領収書は、保険会社の支払のない自己負担の実費を請求する際に必要です。相談時に持ってこなくてもよいですが、ある場合は未精算の領収書の存在を口頭で伝えたほうが良いでしょう。
休業損害証明書(確定申告書など)
休業損害に関する資料として、給与所得者の場合には勤務先に作成してもらった休業損害証明書、自営業者の場合には確定申告書などの自営業による収支の判明する資料を持参すれば、より具体的アドバイスを受けられるでしょう。
損害金計算書
損害金計算書とは、いわゆる保険会社の示談に関する金額提示書面です。
これを法律相談において持参された場合には、弁護士は保険会社の提示額と適正賠償額との差額、弁護士費用を考慮した場合の経済的メリットなどについて具体的に説明することができます。
質問事項をまとめたメモなど
その他、法律相談の際、初めて弁護士に対面して緊張することもあるでしょうから、あらかじめ弁護士に聞きたいことは、メモに書いて整理しておくとよいでしょう。
特に、事故の時系列についてまとめたメモや、「どのように解決して欲しいか(慰謝料を増やしたい・後遺障害認定をされたいなど)」という希望を書いたメモがあると確認を失念することを防ぐことができ、伝えやすいかと思います。書き方に決まりはありませんので、ご自身が見て話しやすいようにまとめてみると良いでしょう。
2.弁護士に依頼する際に確認しておくべきこと
次に、弁護士に相談をした後、実際に依頼する際に確認すべきこと(依頼する弁護士の選び方・見分け方)をご説明します。
(1) 弁護士との相性を確認する
弁護士に相談して依頼する前に、担当弁護士との相性について確認しましょう。
同じ相談内容でも、弁護士によって説明の仕方はさまざまです。
また、相談者に対する話し方や態度など、実際に自分の代理人として活動してくれる弁護士との相性は大切です。
信頼関係の築けない弁護士に事件を依頼した場合には、十分に納得して事件を終わらせることができないこともあります。
[参考記事]
失敗・後悔しない!おすすめの交通事故に強い弁護士の選び方
(2) 委任事項の範囲について確認する
弁護士に依頼する場合には、おそらく委任契約書を取り交わすことになりますが、その際には、まずは委任事項の範囲について確認しましょう。
たとえば、弁護士によって、後遺障害の認定に関する手続は委任事項の範囲外としているケースがありますので、注意が必要です。
(3) 弁護士費用を確認する
最後に、弁護士に依頼する場合には、弁護士費用について注意深く確認しましょう。
交通事故に関する弁護士費用は、基本的に、着手金、成功報酬、実費、日当により構成されます。
着手金や成功報酬の計算の方法、日当の発生する場合及び金額についても気にしておきましょう。
被害者の受け取る賠償金は、弁護士費用を控除したものですから、弁護士に依頼する経済的メリットを判断する際には、弁護士費用は非常に重要です。
[参考記事]
安くするには?交通事故の弁護士費用相場と費用倒れになるパターン
なお、自身の加入する保険の弁護士費用特約を利用できる場合には、約款上認められる範囲内において弁護士費用を任意保険会社に賄ってもらうことができますから、その点の確認も事前にしておくと良いでしょう。
[参考記事]
弁護士費用特約とは?|誰が、いつ、どんなことを補償されるか
3.弁護士へ相談・依頼する際のマナーはある?
弁護士に相談する時の服装に規定はありませんし、当然手土産なども不要です。ただ、まずは法律相談段階において、解決の見通しについて具体的な説明を受けるためにも、ある程度の資料は事前に準備しておきましょう。
また、納得のいく解決のために、疑問に思うことやあなたにとって不利なことも、弁護士には全て正直にお話することをお勧めします。後からそのような事情が出て来ると、方針自体が変わってしまうことになる等、事件に不適切な影響を与えますし、何より信頼関係に亀裂が入ることになるでしょう。
これが、弁護士相談の上での最大のマナーと言えるでしょう。
そして、実際に弁護士に依頼する場合には、必ず弁護士との相性を確認し、弁護士費用についてもしっかりと説明を受けておくようにしましょう。
4.交通事故のご相談・ご依頼なら泉総合法律事務所へ
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