むち打ち [公開日]2018年8月27日[更新日]2021年6月17日

むち打ちで「治療打ち切り」を告げられた時の対処法

交通事故被害に遭い治療を続けている最中、突然「保険会社が治療の打ち切りを連絡してきた」と困惑される方は少なくありません。
「まだ痛みがあって治療が必要なのに、治療費が出なくなるの?」と憤る方もいらっしゃると思います。

しかし、そこで無視したり、打ち切りを鵜呑みにしたりしてはいけません。

無視したら、本当に治療費の支払いを打ち切られ、今後の治療を実費で行わなければならなくなるかもしれません。お金に厳しくなり通院を止めた結果、後遺症が残ってしまう可能性もあります。

今回は、任意保健会社から治療費打ち切りの通告を受けた場合の正しい対処法、打ち切りにならないようにするために被害者の方ができる対応方法をお伝えします。

1.治療の打ち切りの理由

保健会社から治療費の打ち切りの連絡を受けるという方は珍しくありません。

むち打ちの場合は、一般的に治療期間の基準とされる3ヶ月を超えると保険会社から治療費の打ち切りを打診される可能性があり、その後時間とともに徐々に打ち切りの可能性が高まってきます。そして、6か月以内に打ち切られるケースが大半です。

保健会社が打ち切る理由としては様々なものが考えられますが、大きくは以下の3つにあるでしょう。

(1) 保険会社の金銭的負担を減らしたい

損保ジャパンや三井住友海上などの任意保険会社も、善意で治療費を支払っているわけではありません。保険料を受け取り、事故があった場合には保険の対象になっている人に代わって被害者に保障を行うという事業を行っているのです。

もっとも、営利企業としてはできるだけコストを抑えたいと考えます。

治療費・入通院慰謝料の負担は、治療期間が長ければ長いほど大きくなります。
任意保険会社は、自賠責保険の保障の範囲内で治療費を抑えることで負担する額を少なくすることができるため、治療費を早く打ち切ろうとすることがあります。

(2) できるだけ早く事件処理を進めたい

保険会社は、毎日膨大な数の交通事故案件を処理しています。

治療が長引くと、なかなか示談交渉が進まず、効率的な事件処理ができなくなってしまいます。そのため、一般的な治療にかかる一定期間になると、「治療はそろそろ終わりにしませんか?」と連絡をしてくるのです。

(3) 必要のない治療をやめさせたい

被害者の中には、まれに、完治しているのに慰謝料や治療費を請求するため治療をなかなか止めないという方もいらっしゃいます。裁判上も(裁判所の認定した)治癒または症状固定後の治療費は支払う必要がないとされています。

特に、通院頻度が少ない被害者の方は、「治療が必要ないのでは?」「もう完治しているのでは?」と疑われ、治療費の打ち切りを通告されるケースがあります。

2.打ち切りの連絡を無視したら

保険会社から打ち切りの打診を受けた際には、憤りを感じて無視してしまうというケースも見受けられます。

現に痛みがあるわけですから気持ちとしてはわかりますが、打ち切りの連絡を無視すると、保険会社は「治療が必要ない」と判断し、治療費の支払いを打ち切ってしまう可能性が高いです。
また、仕事やプライベートの出来事を理由に通院を怠っていると、いつの間にか電話一本で打ち切られてしまったという例もあります。

治療費打ち切りの打診を受けた場合は、無視せずしっかりと対応することが大切です。

しかし、打ち切りの打診に対し、「保険会社に対して適切に対応すべき」と言われても、具体的に何をすれば効果的なのかは分からないかと思います。

そこで、次に治療を続けたい場合に実行するべきことを解説します。

3.治療を続けたい場合の対策

(1) 症状を医師に伝え、診断書を提出する

打ち切りにならない方法で、まず被害者ができることは、「医師に痛みを伝える」ことです。

むち打ちやヘルニアなどの症状の場合、痛み以外にも、痺れやめまい、肩こりなど、様々な症状があることと思います。これらを主治医にしっかり話して、症状がまだ治っていない・治療を延長したいということを伝えましょう。

その上で、交通事故の影響による症状が続いている旨の診断書を書いてもらってください。医師による診断書という客観的な証拠は、保険会社に対して効果的な手法です。その際、医学的な根拠や具体的な治療期間が記載されているとなお説得力が増します。

あなた自身が症状を保険会社に説明しても相手にしてもらえないという場合は、「医師の診断書を提出します」と伝えるようにしてください。
保険会社も、実際に医学的な根拠や具体的な治療期間の記載された診断書を確認すれば、治療の必要性を認めざるをえない場合もあるでしょう。

(2) お客様センターに苦情を申し立てる

「診断書は提出できたけど、治療費は継続できないと言われた」というようなケースの場合は、一度任意保険会社お客様センターに苦情を申し立てることも考えましょう。

「まだ治療が必要であるのに、一方的に打ち切りを通告された」「こちらはしっかりと説明をしているのに聞き入れてくれない」、というような内容を申し入れることで、保険会社の対応が変わるケースがあります。

これで「必ず治療費継続が叶う」というわけではありませんが、内容次第では一定の効果があるといわれているため、苦情を入れるという方法も選択肢に入れておくべきです。

(3) 交通事故に詳しい弁護士に相談する

それでも治療費が打ち切られそうだ、という場合は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。弁護士が間に入り治療費継続の交渉を行うことで、こちらの主張が認められる可能性もあります。

できるだけ早く、打ち切られる前に弁護士に相談するのがオススメです。打ち切られてからであると何もしようがありません。

4.打ち切り後でも通院できる

治療費が打ち切られてしまった場合でも、治療をやめなければいけないということはありません。

むしろ、まだ痛みが残っていて、医師の医学的な意見がある場合など、必要がある場合は治療を続けましょう
特に、医師が症状を確認し、画像所見などでしっかりとした根拠がある場合は、通院を続けるべきといえます。

ちなみに、打ち切り後に通院を続ける場合は、自己負担で通院を行うことになります。しかし、病院の費用を10割負担することは現実的に厳しい方も多いでしょう。

この場合は、健康保険を利用して治療を継続することが可能です。

交通事故に健康保険は利用できないという噂がありますが、これは完全なるデマです。

健康保険を利用すれば、3割負担で治療を継続することができるため、自己負担額が減り被害者にとってもメリットが大きいでしょう。

手続きとしては、①病院に「健康保険利用に切り替えたいこと」を伝え、②「第三者行為による傷病届」を加入する保険会社(市町村、全国健康保険協会など)に提出するだけです。

自己負担3割分の負担は、症状と事故との因果関係、治療の必要性を主張し、これを客観的に証明することで、後から加害者に請求できる可能性があります。

[参考記事]

交通事故と健康保険|使えないは嘘?デメリットはある?

5.打ち切り後に後遺症が残った場合

治療費の打ち切り後も自費で継続して治療を続けていたが、一向に良くならないというケースも考えられます。

このような状態に陥ってしまった場合は、医師から症状固定の診断を受けてください。

症状固定とは、医学的に見てこれ以上治療を続けても良くならない状態のことです。怪我の内容によってもことなりますが、交通事故でよくあるむち打ち症の場合は、6ヶ月(半年)程度で症状固定と診断されることが多いようです。

症状固定と診断された後は、後遺障害等級認定を申請します。

後遺障害等級認定の等級を獲得することで、後遺障害慰謝料を請求できることになるため、慰謝料額は大きく増額されます。
また、治療費が打ち切られてその後の治療費の請求ができない場合でも、後遺障害慰謝料で治療費をまかなうという方法もあります。

後遺障害認定等級について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

[参考記事]

交通事故のむち打ちで後遺障害認定を受ける方法

このように、打ち切り後でも、医師の医学的な意見を元に通院を継続し、後遺障害等級認定を受け、後遺障害慰謝料を請求することは可能です。
諦めず、専門家である弁護士に相談してみましょう。

6.交通事故後、治療費打ち切りの打診を受けたら弁護士へ

保険会社から治療費打ち切りの連絡を受けた場合でも、打ち切りを回避できる場合もあります。できるだけ早い段階で、被害者側にて対策をしましょう。
まだ痛みがある場合はしっかりと通院を行うこと、保険会社から連絡がきたときは、症状などを適切に伝えることが大切です。

実際に打ち切られてしまうと、治療費の支払いを再開させることが難しいのが現実です。
自分でどうしたらいいかわからない場合は、専門家である弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所は、交通事故案件を多く取り扱い、任意保険会社との治療費継続交渉から損害賠償請求、後遺障害等級認定申請まで迅速かつ丁寧に対応いたします。
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