後遺障害 [公開日]2018年3月2日[更新日]2020年4月22日

後遺障害12級の症状と後遺障害慰謝料相場・逸失利益の計算

交通事故で後遺症が残ってしまった方が申請できる後遺障害等級は、最も重い1級から軽い14級まであります。

後遺障害12級の場合には、比較的軽い方の等級であると言うことができます。
しかし、等級認定を受ければしっかりとした補償を受けることができます。

このコラムでは、後遺障害12級とはどのような障害を負ったときに認定され得るものなのか、12級をとるにはどうすれば良いのか、遺障害慰謝料の基準額および逸失利益(得られなくなった将来の収入)の計算方法についてお伝えいたします。

1.後遺障害12級の症状

「後遺障害12級は比較的軽い」とは記載しましたが、それは「上位の等級と比較して」というだけで、怪我自体が軽いものではありません。

後遺障害12級に定められている症状は以下の通りです。

後遺障害12級1号 1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
後遺障害12級2号  1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
後遺障害12級3号  7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
後遺障害12級4号  1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
後遺障害12級5号  鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの
後遺障害12級6号  1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
後遺障害12級7号  1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
後遺障害12級8号  長管骨に変形を残すもの
後遺障害12級9号  一手の小指を失ったもの
後遺障害12級10号  1手の人差し指、中指または薬指の用を廃したもの
後遺障害12級11号  1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの
または第3の足指以下の3の足指を失ったもの
後遺障害12級12号 1足の第1の足指または他の4の足指の用を廃したもの
後遺障害12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
後遺障害12級14号 外貌に著しい醜状を残すもの
【参考】交通事故の外貌醜状|後遺障害はモデルじゃなくても認められますか?

表の内容を見てみると、重度の頚椎捻挫(むち打ち)や腰椎捻挫、ヘルニア、顔に傷が残ることなどが該当するだけでなく、関節の機能障害や指を完全に失うなど、かなり悲痛と感じざるを得ないものも含まれております。

頚椎捻挫(むち打ち)の場合、12級の認定には、検査結果などの画像所見で怪我が分かる資料が必要であり、認定は難しいとされています。

[参考記事]

むち打ちの後遺障害認定|12級・14級の違い

12級の等級が付くと、14級の事例に比べて、金額的には圧倒的に増額することになります。

後遺障害等級の申請方法については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

後遺障害等級とは?認定機関による認定方法とその流れ

2.後遺障害12級の慰謝料額・逸失利益

12級で補償される金額は一体どの程度なの?と気になる方もいらっしゃることでしょう。

以下では、12級の後遺障害認定を受けた場合の後遺障害慰謝料と逸失利益の計算方法についてご説明します。

(1) 後遺障害慰謝料

まず、後遺障害慰謝料ですが、自賠責基準では93万円、裁判基準では290万円とされています。
自賠責基準は、自賠責保険において認められている最低限の補償であり、裁判基準は弁護士が交渉をした際にのみ適応可能な裁判所も認める基準です。

自賠責基準 裁判基準
93万円 290万円

弁護士に依頼をして裁判基準で算出した方が、圧倒的に高額となります。

各基準についての詳細は、以下のコラムをご覧ください。

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

[参考記事]

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

(2) 逸失利益

逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより減ってしまった、将来受け取れるはずだった利益の損害です。

後遺障害認定では、等級ごとに労働能力喪失率というものが定められています。
これに加え、「ライプニッツ係数」という、金利分を控除した係数を用いて計算をします。

たとえば、40歳で年収500万円の方が、事故により指を失った場合を考えてみます。
この場合は、実務上67歳まで労働可能(労働能力喪失期間27年)と考えます。

【計算式】
14級の場合:500万円×5%(労働能力喪失率)×14.6430(ライプニッツ係数)=366万750円
12級の場合:500万円×14%(労働能力喪失率)×14.6430(ライプニッツ係数)=1025万100円

[参考記事]

後遺障害・死亡事故の逸失利益の計算例|もらえない原因を解説

3.労働能力喪失の裁判例

労働能力喪失については、さまざまな裁判例があり、上記の例外も沢山あります。
具体的には、労働能力喪失期間が限定されるものや、そもそも労働能力が喪失しないと考えられるものです。

たとえば、12級13号の「頑固な神経症状」の場合、つまり画像所見などの他覚所見がある場合には、実務上、労働能力喪失期間として最大10年程度ということになります。

先ほどの例で言いますと、

500万円×14%×7.7217=540万5190円(ライプニッツ係数に影響)

ということになります(それでも、14級9号の場合に比べたら、圧倒的に高額になります)。

また、12級5号「鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」について、たとえば鎖骨が骨折し、骨癒合の際に変形してくっついてしまった場合には、これに該当することになります。
もっとも、この場合には、特段痛いなどの問題も生じていないという方が多いため、保険会社は労働能力喪失について否定的に解してきます。

あるいは、労働能力喪失を認めたとしても、労働能力喪失期間5年間および労働能力喪失率5%などで認定してくることもあります。
そして、裁判所も67歳まで認めることは稀でしょう。

ただ、交渉や裁判などにより、うまくいけば慰謝料額290万円と同程度認められる可能性があるので、保険会社から「逸失利益なし」と言われても、諦めてはならないところです。

一方で、事故の結果、歯がたくさん折れてしまい、12級3号「7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」に該当した場合の、労働能力喪失に関しては、裁判例でも認められてはいません。

もちろん、口腔の問題であっても、歯牙欠損によって、咀嚼または言語機能に支障をきたせば、たとえば10級3号に該当し、その場合は労働能力喪失が認められることもありますが、12級3号に該当する事案であれば、基本的に認められることはないでしょう。

これらの例外を踏まえ、保険会社と交渉していくことが大切な点です。

4.交通事故で後遺障害12級に認定され得る方、ご相談は弁護士へ

いかがでしたでしょうか。後遺障害12級は、該当する類型によっては労働能力喪失期間が認められなかったり、あるいは制限されたりなど、複雑なことも多い等級です。
保険会社との交渉において、早期に適切な解決を目指すためには、事案にふさわしい適切な知識が必要になります。

また、等級が高くなればなるほど、任意保険会社から賠償金を低く見積もられる可能性が高いことから、弁護士などに依頼した方が得られるメリットが増えるでしょう。

泉総合法律事務所では、交通事故被害者の方を救済すべく、さまざまな案件に取り組んでまいりました。
その中で得られた経験、知識などを駆使して最高のリーガルサービスをご提供できると自負しております。

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