過失割合 [公開日]2018年4月13日[更新日]2018年10月4日

子供にも責任がある?飛び出し事故の示談で子供の過失を言われたら

子供にも責任がある?飛び出し事故の示談で子供の過失を言われたら

子供は動き回るもの。突然走り出したりすることもあるでしょう。多少の無茶はしょうがない。しかし、交通事故に遭ってしまったら……。

十分気を付けていたつもりでも、子供の飛び出しを完全に防ぐことはできません。そんな時、加害者側に子供の過失を指摘されたらどうすればいいのでしょうか?

1.過失相殺の根拠

交通事故において過失相殺という考え方があります。被害者に過失があった場合は、その割合に応じて加害者の賠償額を減額できることを指します。

民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と定めており、これが過失相殺の根拠規定です。そして、その趣旨は、公平の見地から、損害発生についての被害者の不注意を斟酌することにあります。

過失相殺における「過失」とは、「被害者の社会生活上の落ち度ないし不注意を含む被害者側の諸事情」を言います。

では、子どもの飛び出しの場合に、子どもの過失は認められるのでしょうか?

2.事理弁識能力がない子どもの過失相殺

判例は、被害者に不注意があったというためには、事理弁識能力、つまり、物事の良し悪しを判断できる能力が必要であると判断しており、一般的には、7歳くらいになれば、この事理弁識能力を備えていると考えられています。

言い換えれば、事理弁識能力のない子どもには、落ち度・不注意は認められず、過失相殺できないということになります。

しかし、このような場合には、「被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失」が、「被害者側の過失」として、過失相殺の対象となります。

以下、未成年者と身分上、生活上一体をなすとみられるような関係にある者の過失についてまとめてみました。目安としてお考えください。

具体例を挙げながら説明しまししょう。

子どもの過失相殺

※未成年者に事理弁識能力がない場合は、未成年者の年齢にかかわらず、親などの過失が問われる可能性があります(民法714条)。

被害者と身分上・生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者」としては、監督義務者である父母や、配偶者・内縁配偶者、雇用関係にある被用者などが挙げられます。これらの者に過失がある場合は、過失相殺の対象となります。

しかし、保母や子守を頼まれた近所の主婦などは、この範囲に含まれず過失があっても過失相殺の対象にはなりません。

たとえば、道の向こう側にいた父母の合図で、3歳の幼児が道路を横断したところ、道路を直進した自動車と衝突したという交通事故の場合、3歳の幼児自身には事理弁識能力がありませんが、その父母には、道路の状況を適切に確認せずに合図を出したという過失があるので、当該過失を過失相殺の対象にするという考えです。

よって、事理弁識能力がない子供が事故に遭った場合、当該事故に遭った子供自身以外にも、その子供のそばにいて面倒を見ていた家族などの行動が過失相殺の場面で問題になることがあります。

3.事理弁識能力がある子どもの過失相殺

被害者側に過失(不注意または落ち度)があった場合に、過失相殺をするかどうか、するとしてどの程度相殺するかは、最終的には個々の裁判官の自由な裁量により定められますが、交通損害賠償訴訟に携わる弁護士、裁判官などは、評価の目安として、1970年前後に過失相殺率の認定基準を公表し、順次改定を行っています。

現在でも、弁護士、裁判官などは、基本的に上記過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズ38号。以下、「判タ38号」といいます。)に基づき、過失割合について協議・判断をしています。

判タ38号は、様々な類型の交通事故の過失割合を定めていますが、歩行者と四輪車・単車との間の事故の場合、歩行者が児童(6歳以上13歳未満)であるときは510%、幼児(6歳未満)であるときは1020%、歩行者の過失が減少すると定めています。

つまり、歩行者が児童または幼児である場合、その分自動車の過失が増加するのです。

これは、車両を運転する者において、幼児、児童、高齢者などの社会的に保護すべき者が車の接近に気づかず横断を開始したりすることがあり得ることを認識・予見して運転するべきとの考え方に基づきます。

年齢を考慮して減少こそされますが、子供にも過失は認められるということです。そして親の過失も考慮されうるのです。

4.飛び出し事故の示談交渉で子供の過失を指摘されたら

交通事故は多くの場合、被害者と加害者もしくは加害者側の保険会社との示談交渉で解決します。特に保険会社との交渉は厄介です。少しでも保険料を下げようとしてきます。

もし、そこでお子さんの過失を指摘されたら?

過失割合は、事故当時の道路状況や時間、走行スピードなど様々な要素を勘案し、決定されます。保険会社にうまく言いくるめられてしまうかもしれません。

適正な過失割合を交渉するためには、どうぞ弁護士にご相談ください。

5.まとめ

  •  過失相殺の根拠は、損害の公平な分担
  • そのため、過失相殺の対象になるには、被害者である子供に事理弁識能力が必要。
  •  子供自身に事理弁識能力がなくとも、「被害者側」に過失があった場合、当該過失が過失相殺の対象になる
  •  子供に事理弁識能力がある場合でも、大人と比べて、過失割合は小さくなる。

子どもの飛び出し事故。それだけでもご両親の心痛は如何ばかりかとお察しします。お困りの方は是非泉総合法律事務所にご相談ください。

当事務所では、過失割合の交渉実績も多数ある交通事故の専門家が揃っております。

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