交通事故の原因ランキング|安全不確認、脇見運転、一時不停止
警察庁の統計平成30年の全国の交通事故件数は、430,601件でした。
交通事故が最も多かった平成16年は952,720件ですから、半分にまで落ちたといえます。
また、交通事故で死亡した人の数は3,532人。これは統計の始まった昭和23年以降で最小の数字です。
死亡者数が最も多かった昭和45年は16,765人でしたから、5分の1程度にまで減ったことになります。その理由は歩行者や車の運転者の交通法規を守ろうという意識が高まったことと、救命医療の技術向上により死亡してしまうような事故でも救命が可能となったことなどが挙げられます。
このように、交通事故件数および死亡者数のいずれも年々減少傾向にありますが、ご自身はもちろん、友人やご家族が交通事故に遭うのは誰しも避けたいものです。
今回は、どのような状況のときに交通事故が起こりやすいのか、平成30年の交通事故原因について、調べてみました。
1.昨年の交通事故原因ランキング
警察庁では、交通事故の件数や事故状況について、毎月統計を発表しています。
その統計によると、平成30年の事故原因のトップ10は以下のようになっています。
- 安全不確認(128,224件)
- 脇見運転(60,990件)
- 動静不注視(45,084件)
- 漫然運転(34,707件)
- 運転操作不適(27,859件)
- 交差点安全進行義務違反(24,771件)
- 一時不停止(16,400件)
- 信号無視(12,495件)
- 歩行者妨害等(11,809件)
- 優先通行妨害(9,939件)
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
「統計で見る日本|平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」
2.事故原因の具体的な内容
交通事故原因は、パッと見て事故の状況が想像できるものもあれば、あまりピンとこない言葉もあるかと思います。
ここからは、ひとつひとつ内容を見ていきましょう。
(1) 安全不確認
読んで字のごとく、「安全確認が足りないこと」です。
たとえば、交差点に進入するとき、運転者としては左右の確認をしたつもりでも自転車や歩行者を見落とすことがあります。
そのようなときに事故が起こると「安全不確認が原因」とされます。
(2) 脇見運転
「前方を見ずに運転すること」です。
横を見ながら運転することはもちろん、携帯電話で会話をしながら、もしくはカーナビやスマホの操作をしながら運転することも含みます。
(3) 動静不注視
「事故を起こしそうな相手を認識しながらも、その相手の動きを注視しないこと」です。
「相手が進路を変更すると思わなかった」「相手がよけてくれると思った」など、相手を認識しつつもその判断を誤ったことが主な理由となる点で「安全不確認」とは異なります。(そもそも相手を認識していなかったというのが「安全不確認」です。)
(4) 漫然運転
「集中力・注意力が低下した状態で運転すること」です。
同乗者との雑談や考え事、長時間の運転による集中力の低下などによる事故の場合「漫然運転が原因」とされることが多いようです。
また、状況によって、携帯電話で通話をしていた場合もこちらにカウントされることがあります。
(5) 運転操作不適
いわゆる「運転操作ミス」のことです。
具体的にはハンドル操作を誤る、ブレーキとアクセルを踏み間違える、などが挙げられます。
「駐車時にブレーキと間違えてアクセルを踏んでしまい、コンビニエンスストアに車が突っ込んだ」などという事故はまさにこの典型です。
(6) 交差点安全進行義務違反
自動車を運転する際には、「交差点を進行する際は車や歩行者に注意し、安全な方法・スピードで通らなければならない」という「交差点安全進行義務」がありますが、それに違反することをこのように呼びます。
- 交差点において車や歩行者に注意を払わなかった
- 方向指示器の出し忘れや間違いがあった
このような場合は、「交差点安全進行義務違反」に該当します。
交差点は特に事故が多い場所ですから、注意したいものです。
(7) 一時不停止
「一時停止の指定がある場所で一時停止しないこと」です。
特に交差点などの場合、一時停止の指定があるにもかかわらず停止せずにそのまま進入してしまうと、一時停止の指定がない道路から侵入してきた車と衝突してしまう可能性があります。
(8) 信号無視
赤信号なのに進行するなど、「信号機の表示に反して通行すること」です。
赤・黄・青の点灯信号それぞれが意味することは一般的に広く知られていますが、赤点滅・黄点滅などの意味も一度確認してみるといいでしょう。
黄点滅:他の交通に注意して進行可(徐行や停止する必要はありません)
赤点滅:歩行者は他の交通に注意して進行可、車両等は停止位置において一時停止して、安全確認をしてから進行可
(9) 歩行者妨害等
「横断歩道を横断しようとする歩行者がいる状況で、車両が一時停止をしないこと」です。
道路を横断しようとする歩行者は車より優先されますが、日本では横断しようとする歩行者を見ても一時停止しない車が非常に多いのが実情です。
諸外国ではこの「歩行者優先」が徹底されているところが多いため、東京オリンピックなどで来日する外国人が歩行中に交通事故に遭ってしまう危険があるでしょう。
(10) 優先通行妨害
道路の通行の際は、基本的にどちらが優先されるかという「優先順位」が決まっています。
しかし、その優先順位を無視して、または誤って、優先順位の低い自動車が優先順位の高い自動車や歩行者の通行を妨害することをこう呼びます。
3.交通事故で悩んだら弁護士に相談を
交通事故の原因は、「安全不確認」や「脇見運転」などの安全運転義務違反が全体の7割を超えています。
これを機に、ドライバーの方は自分の運転について一度振り返ってみてください。
「そういえば、自分はこの違反をしたことがあるかも…」など、思い当たることもあるかもしれません。以下のような徹底した対策をとるようにしましょう。
- 慣れている道であっても安全確認を怠らない
- スマホを操作するときは必ず車を停めてから行う
- 長時間運転する場合、1~2時間に1回はしっかりと休憩を取る
また、歩行者側としては、上記の交通事故原因について頭に入れておき、できる限り注意しながら通行したいものです。
万が一交通事故に遭ってしまった場合、相手方(加害者やその保険会社)と賠償額や過失割合について交渉することになります。
この際、被害者にとって納得のいかない条件を提示されることは多いです。
そんな場合には、一度法律の専門家である弁護士への相談をおすすめします。
交通事故でお悩みの際には、交通事故の解決実績豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。