慰謝料・賠償金 [公開日]2018年5月14日[更新日]2023年10月25日

加害者・保険会社に示談を急かされた!どう対応するのが正しい?

加害者・保険会社に示談を急かされた!どう対応するのが正しいのか?

【この記事を読んでわかる事】

  • 加害者や加害者側の保険会社は何故示談を急かすのか?
  • 示談を急かされた場合、どうするのが最善策なのか?

交通事故の被害者が、示談交渉において加害者側の保険会社に「示談成立を急がされる」と感じることは少なくありません。

「問題が早く解決するのは良いことだろうから、示談を受け入れてしまって良いのだろうか?」と考える方もいるかもしれませんが、交通事故の早期示談は被害者にとって不利となることが多くあるので注意が必要です。

今回は、加害者側の保険会社が示談を急ぐ理由や、示談を急がされた際の正しい対応について解説します。

1.加害者側が示談交渉を急ぐ理由

交通事故の示談交渉においては、加害者本人ではなく、加害者が加入しており損害賠償金の支払いを実際に負担する保険会社と示談交渉をすることになります。
その加害者側の保険会社に交通事故の示談の成立を急かされるときには、様々な思惑が背景にあることが少なくありません。

  • 支払う治療費や慰謝料が少なくなる
  • 後遺障害の賠償金を支払う負担が少なくなる
  • 被害者側に弁護士がつく前に処理したい
  • 担当者の業務成績に直結する可能性

保険会社にとっては、示談交渉を急ぐことで「支払う治療費や慰謝料が少なくなる」というメリットが生じます。

営利企業である保険会社にとっては、示談金(損害賠償)はできるだけ低く抑えたいと考えるのが通常です。

早期示談が成立すれば、治療費の負担額は少なくて済みます。
また、治療が長引くと後遺症が発覚する可能性が高くなりますが、その発覚前に示談金の額を確定できれば、やはり金銭の負担は小さくなります。

さらに、被害者側に弁護士がつく前に案件を処理できれば、加害者側にとって不利な事情を指摘されるリスクも軽減することができます。

示談成立の早さが保険会社の担当者の業務成績に直結している場合もあるでしょう。

【刑事事件になる事故の場合、加害者本人の事情もある】
人身事故では、加害者が刑事処分に問われる場合があります。事故の状況にもよりますが、交通事故の加害者が過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪などに問われる可能性もあるのです。
そして、示談の成立は加害者の刑事処分の有無や程度に大きく影響します。被害の程度が重大でない場合には、示談成立によって不起訴の可能性が高くなり、起訴された場合であっても量刑が軽くなる可能性が高くなるのです。そのため、人身事故の加害者には示談を急ぐニーズがあるといえます。

2.早期示談をすることによる被害者側のデメリット

交通事故の示談交渉は、被害者にとっては煩わしいと感じることがあります。被害状況によっては「早く処理して静かな生活に戻りたい」と考える人も少なくないかもしれません。

しかし、性急な示談成立は、次のようなデメリットが生じる可能性があるので、注意が必要です。

  • 入通院慰謝料が下がる
  • 適切な治療が受けられなくなる
  • 後遺障害認定を受けにくくなる

(1) 入通院慰謝料の受け取りや適切な治療に悪影響が出る

早期示談で生じる被害者のデメリットは、簡単にいえば早期示談による保険会社のメリットの裏返しといえます。

早期示談は、被害者にとって「十分な治療を受ける機会」や「適切な損害賠償金を受け取る機会」を失ってしまうリスクをはらんでいます。

交通事故の損害賠償として支払われる入通院慰謝料は、怪我の状態ではなく入通院の日数に応じて算出されます。
早期に示談が成立すれば、それだけ入通院慰謝料の額は減額されてしまいます。

(2) 後遺障害認定を受けにくくなる

示談交渉を急いだことで、後遺障害の認定(後遺障害慰謝料の請求)で不利になる場合もあり得ます。

被害者としては「もう少し治療を受けたい」と感じているのにもかかわらず、保険会社から「症状固定」を求められる場合もあるでしょう。
保険会社は「早期の症状固定(治療費打ち切り)」を求めてくるケースが典型的です。

示談交渉の実務において「症状固定」は「これ以上治療を続けても大幅な症状改善が見込めない状態」のことをいい、たとえば、頸部損傷(むち打ちなど)のときには、治療後に「良くも悪くもならない状態」となった場合に「症状固定」の状態になったといえます。
そして、症状固定は「治療費の確定(打ち切り)」を意味するので、症状固定以後の治療費の保険会社からの支払いは打ち切られることになります。つまり、症状固定後も治療を継続するときには、被害者自身で負担する必要があります。

しかし、交通事故による怪我の治療は数ヶ月に及ぶ場合もあります。治療費打ち切りをきっかけに、通院・治療が面倒になって疎かにしてしまう人も少なくありません。

これには注意が必要です。と言うのも、万が一治療打切りの後に後遺症が残ると、「適切かつ十分な治療を受けていない」ことが後遺障害慰謝料の請求などで不利に働くこともあり得るからです。

3.示談交渉で不安なときは弁護士へ相談を

この記事で解説してきたように、保険会社が示談交渉を急ぐのは、さまざまな理由を背景にしています。

交通事故の示談では、「正当で適正な補償を受ける」ことが大切です。
早期の示談であっても、適切で十分な示談内容であれば問題はありません。むしろ、公平な内容の示談が早期に成立することは、被害者にとっても加害者にとっても好ましいことでしょう。

他方で、交通事故の示談内容は、算出根拠が実務的・専門的であるものが多く、一般の方が「適正な示談内容」であるかどうかを判断することは簡単とはいえません。
被害者にとっては、早期示談に応じるべき場合もあれば、提示されている内容で早期に示談した方がよい場合もあり、それぞれのケースに応じて正しく対応する必要があります。

示談成立の時期や内容についてお困りのときや、不安に感じたときには、できるだけ早く交通事故事件の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

示談交渉についてお困りのとき、不安を感じたときには、泉総合法律事務所にご相談ください。交通事故に強い弁護士が、解決まで誠心誠意サポートさせていただきます。

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