慰謝料・賠償金 [公開日]2020年2月28日[更新日]2020年11月6日

交通事故のリハビリは毎日通院?|慰謝料と通院日数・頻度の関係

交通事故で怪我を負った場合、治療に時間がかかり、通常の日常生活が送れないこともしばしばあります。
加害者である相手方には、正当な金額の慰謝料を支払って欲しいでしょう。

今回は、交通事故の被害者が受け取れる「慰謝料」について解説します。

実は、交通事故の「慰謝料」は通院日数に大きく左右されます。
慰謝料の計算方法から、交通事故の慰謝料請求で必要な通院・リハビリの日数などを本記事でご説明しますので、慰謝料請求の際の参考にしていただければと思います。

1.交通事故慰謝料の計算基準・計算方法

まずは、交通事故被害にあった場合に、通院・リハビリでどれくらいの慰謝料が受け取れるのか、計算基準や計算方法をみていきましょう。

(1) 慰謝料を計算するための3つの基準

交通事故の慰謝料というと、一般的には入通院慰謝料を指します。
入通院慰謝料は、交通事故の怪我により入院や通院などの治療をしなければいけなくなった苦痛に対する賠償金のことです。

この入通院慰謝料を計算する方法ですが、実は1つではありません。具体的には、自賠責基準、任意保険会社基準、弁護士基準(裁判基準)と呼ばれる3つの基準が存在するのです。

自賠責基準は、この3つの基準の中で、基本的に一番慰謝料額が低く計算される基準となります。被害者が最低限受け取るべき金額を算出できる基準というべきかもしれません。

この次に高額な基準となるのが任意保険会社基準です。これは任意保険会社独自の算出基準であり、自賠責基準より少し高い設定になっているようです。

最後に、弁護士基準です。弁護士基準は裁判基準とも呼ばれており、実際の裁判でも使用されている基準となります。基本的に一番慰謝料が高額になる基準であり、本来被害者が受け取るべき適正額の慰謝料算出ができます。

ただし、この基準は弁護士に依頼した場合にのみ利用できる基準と考えていただいた方がよいでしょう。弁護士をつけずにこの基準で算出することを求めても、相手方保険会社は通常応じないからです。

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

[参考記事]

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

(2) 慰謝料の計算例

では、どのようにして実際に計算するのでしょうか?
自賠責基準と弁護士基準で計算してみましょう。

自賠責基準

自賠責基準では、慰謝料は1日4,300円と自賠責法にて決まっています。
実際の計算式は以下の通りです(いずれか少ない方で計算します)。

  • 実通院日数×2×4,300円
  • 総治療期間の全日数×4,300円

例)総治療期間3ヶ月(90日)、実通院日数30日の怪我の場合
(30日×2)×4,300円=25万8,000円

弁護士基準

弁護士基準の場合、1日いくらと決まっているわけではなく、以下の表を用いて計算します。ただし、むち打ち症で他覚所見がない場合等は、下記の表とは異なる表を用いることになります。

赤本別表Ⅰ

比較のため先ほどの例を利用すると、入院なしの通院3ヶ月で73万円の入通院慰謝料が受け取れることがわかります。

なお、むち打ちの慰謝料については以下のコラムもご覧ください。

[参考記事]

むち打ちの慰謝料|計算表で金額相場が一目で分かる!

このように、計算基準によって慰謝料は変わります。
保険会社が提示する額に納得できず慰謝料を増額させたい場合は、弁護士に依頼するのが近道です。

2.必要な通院・リハビリの日数と頻度

上記の計算を見ると「長く通院をした方が多く慰謝料を貰えるのでは?」「毎日通院した方が慰謝料も高くなるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、適切な慰謝料を受け取るためには、通院の頻度やリハビリの日数も適切にする必要があります。

では、通院はいつまですべきで、通院頻度はどれくらいが適切なのでしょうか。

(1) いつまで通院すべきか

まず、「いつまで通院すべきか」についてですが、答えとしては「医者が症状固定と診断するまで」が正解です。

症状固定とは、これ以上治療を続けても医学的にみて完治が難しい状態を指します。これ以降は、治療を続けても保険会社から治療費を受け取ることはできません。

毎日の生活が忙しいとなかなか病院に通えないかもしれませんが、痛みが残る場合は、症状固定まできちんと通院・リハビリを続けることが大切です。

注意すべきは、保険会社の指示で治療をやめてしまうことです。
保険会社は自社が負担する治療費を少なくするために、通院開始から一定期間が経過すると、「そろそろ症状固定の時期では?」「治療費の支給を打ち切りたい」と打診をしてくることがあります。

しかし、まだ痛みが残っている場合は、この指示に従わず、医師の判断を仰いでください。

自己判断で通院をやめてしまうと、その時点で症状固定になったとみなされてしまうリスクがあります。症状が残る場合は医師の指示の下、治療を続けるべきです。

症状固定の時期などが気になる方は、詳しくは以下の記事を閲覧ください。

[参考記事]

むち打ちで「治療打ち切り」を告げられた時の対処法

(2) 通院頻度はどのくらい?

症状固定まで治療を続けるべきですが、治療期間中は忙しくて定期的に通えないこともあるでしょう。
実際のところ、どれくらいの通院頻度が理想なのでしょうか。

理想としていうならば、正当な慰謝料を受け取りたい場合は「週2回以上、1ヶ月10日以上」の通院が必要です。

というのも、通院頻度や日数があまりに少ないと、怪我が想定よりも軽いと判断され、慰謝料を減額される可能性があるためです。
上でご説明した弁護士基準を用いて算出する際に、場合によっては、通院期間よりも実通院日数の3〜3.5倍を採用すべきという結果になることもあります。

したがって、毎日通う必要はありませんが、上記の通り最低でも週に2回程度は通う方が良いでしょう。

忙しい日々を送っているため「なかなか病院に行けない」という方は多いと思いますが、被った損害に対する適切な額の慰謝料を受け取るためには、定期的な通院が必要です。
医師の指示に従い、適切な頻度で病院を受診するようにして下さい。

3.痛くないのに通院・故意の通院期間稼ぎをすると?

交通事故後の通院期間や通院頻度については、怪我の内容や治療内容に応じて適切な期間・頻度で病院に通うべきです。
しかし、このように説明すると「長ければ良い・通院が多い方が良い」と勘違いされる方もいらっしゃいます。

必要もないのに(痛くないのに)、故意で通院期間を稼いだ場合はどうなるのでしょうか。

この場合、慰謝料算定の通院日数に参入してもらえない可能性があります。

例えば、打撲の怪我であるのにもかかわらず、毎日のように半年以上通い続けるケースは、誰がみても不自然だとわかります。
この場合、必要もないのに病院に通っているとして、その期間は治療期間と判断されなくなってしまいます。

この他にも、下記のようなケースの場合、不適切だと判断される可能性があります。

  • 怪我が軽いのに、必要以上に長期間通院している
  • 通院頻度が低い
  • 治療内容が不透明(湿布のみなど)
  • 医師の許可なく整骨院での治療を長期間(通院頻度が高い)行っている

もっとも、通常より長い期間治療を受けているからといって、それだけで保険金詐欺として判断されることはありません。

痛くもないのに痛みを主張して通院を続けるのは不適切ですが、医師の指示の下、症状の治療を続けているケースではれば、通常は問題ないでしょう。

4.交通事故の通院・治療についての疑問は、弁護士に相談を

交通事故の通院期間や治療期間について、疑問やお悩みがある場合は、医師に相談するか交通事故に詳しい弁護士に相談すべきです。

特に、慰謝料が想像より少ないという場合や、治療費が打ち切られそうという場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談するのが得策です。

最近では、インターネット上でも交通事故に関するさまざまな知識を得ることができますが、最終的には個別事情を考慮しないと正確な判断はできません。
ご自身のケースでどのように対応すべきかを知りたい場合は、個別事情を弁護士に相談し、アドバイスを仰ぐのが一番だといえます。

交通事故の通院期間や治療について疑問や不安がある場合は、ぜひ泉総合法律事務所にご相談ください。
被害者が納得できる正当な慰謝料を獲得できるようアドバイスいたします。

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