自動車保険 [公開日]2018年3月20日[更新日]2019年10月4日

交通事故の調査会社とは?調査の拒否はできるのか

交通事故の調査会社というのをご存知でしょうか。
調査会社は、主に、過失割合についての双方の主張が一致しない場合や、保険会社が偽装事故(当たり屋や保険金詐欺など)を疑っている場合などに出てきます。

「調査会社にはどのような役割があるの?」「交通事故後に調査員から話を伺いたいと言われたのだけど、拒否しても大丈夫?」

このような疑問をお持ちの方をいらっしゃるかもしれません。

調査会社は、誰がどういう目的で依頼し、何をするところなのでしょうか。
この記事では、交通事故の調査会社について、その正しい対応方法をご説明します。

1.交通事故の調査会社

(1) 事故調査会社とは

調査会社は、事故原因を客観的・物理的な観点から究明する第三者調査機関と言われています。
損害保険会社などからの依頼により、調査会社の調査員が事故状況を調査・確認します。

損害保険会社が自社で出資している会社もあります(「アジャスター」と呼ばれることがあります)し、複数の損害保険会社で共同で出資している会社もあります。また、そうでなくても損害保険会社から定期的に仕事をもらっている会社ですので、公平性が担保されているとは言い難い面もあります。

(2) 調査の内容・方法

調査員は、事故現場の調査、交通事故の当事者からの聞き取り、警察からの聞き取りを行います。

事故現場のあらゆる角度から事故現場の写真を撮影し、道幅、信号サイクルなどを確認します。

また、交通事故の当事者双方から話を聞きます。
しかし、これは、警察の実況見分のように事故現場で話を聞くわけではなく、自宅を訪問したり、喫茶店などで話を聞いたりすることが多いようです。

また、警察にも聞き取りに行きます。
ただ、警察は、民事不介入であり、刑事記録に記載されている以上のことはなかなか教えてもらえないそうです。

(3) 調査結果

調査が終わると、調査会社は調査報告書を保険会社に提出します。

しかし、調査結果はあくまでも調査会社の意見で、示談交渉や裁判の際の参考資料の1つにすぎないので、過度におそれる必要はありません。

2.調査会社がでてきた場合の対応方法

(1) 調査を拒否することは可能

調査会社の調査に協力しなければならないという義務はないので、これは拒否しても問題ありません。

ただ、拒否すると、双方の主張が平行線のままになりますし、保険会社は、「やましいことがあるから協力しないのではないか?」と考えますので、示談による解決が難しくなる可能性はあります。

もっとも、過失割合については、民事調停や紛争処理センターなどの斡旋でも十分に話し合うことができます。
調停委員や裁判官の方が、調査会社よりも公平な立場です。

【調査会社には過失割合決定の権限はない】
調査会社には、過失割合を決定する権限はありません。
交通事故の過失割合を決める方法は、①当事者同士の合意(調停や斡旋なども含む)か、②裁判所による判決以外にはありません。

(2) 調査に協力する場合の注意点

調査会社の調査をおそれる必要はないとはいえ、適当に済ませてしまっては、後から不利になる可能性があります。

調査結果が被害者に不利だった場合、保険会社はその結果をもとに示談交渉を迫ってきますから、示談交渉で不利になってしまいます。
また、後日裁判になった場合、調査会社の調査結果も証拠の一つとなることは意識しておきましょう。

相手側の人であるということを念頭に置いておく

調査会社のお客様(仕事を依頼してくれる人、お金を払ってくれる人)は、損害保険会社であって、被害者ではありません。

あくまでも、調査会社は、損害保険会社が雇った人であるということを念頭において対応しましょう。

ウソをつかない

当然のことですが、調査員にウソをついてはいけません。自分の記憶に基づいて、伝えるべきことはきちんと分かりやすく伝えましょう。

自分が述べたことが他の証拠から分かる客観的事実と整合しない場合、すべての供述に信用性がないとみなされてしまう可能性があります。これは、後々まで不利になります。

あいまいな答えをしない

あいまいな答えは、自分が言ったことを全く違うニュアンスでまとめられてしまうこともあります。

あいまいな答えは避け、覚えていないことは「覚えていません」とはっきり答えた方がいいでしょう。

録音する、記録に残す

調査員とどのような話をしたのか、時間がたてば記憶は薄れあいまいになっていきます。調査当日の面談内容をいつ、どこで、だれと、どのような話をしたのか、記録に残しておくべきです。調査員は名刺を提示するはずですので、名刺は保管しておくのがよいでしょう。

一番いいのは会話内容は録音しておくことです。「録音していいですか?」と一言断れば、それを拒否する調査員は通常はいません。

報告書の開示を確認する

相手方の保険会社が発注する原因調査にこちらが協力する場合、調査会社から相手方の保険会社に提出される報告書のすべてを被害者に開示するとは限りません。
これも、あくまでも調査会社が保険会社に依頼されているものであって、被害者が依頼者ではないからです。

そこで、調査に協力する場合には、事前に「報告書の写しはこちらにも送ってもらえるのですか?」と確認した方がよいでしょう。

送ってくれないような会社であれば、公平性に疑問が生じますから、協力拒否も考えるべきでしょう。

3.弁護士に依頼することの有用性

調査会社の調査員は、損害保険会社が雇った人なので、あなたの要望を聞いてくれたり、相談に乗ってくれたりする人ではありません。
また、あなたの話を聞いて、あなたに有利な証拠は何かと考えて集めてくれたりすることもありません。

そのようなことをしてくれるのは「弁護士」です。

調査会社の調査の結果、被害者に不利な結果が出た場合、相手方保険会社は、これを利用して、被害者に譲歩を迫るでしょう。
被害者が「この結果はおかしい」と思っても、示談でこれを覆すのはかなり困難になります。

そのようなことになる前に、そもそも調査会社に協力した方がいいのかについても、弁護士に相談するべきです。また、調査に協力するとしても、弁護士に同席してもらうなどの方法を考えた方がよいでしょう。

また、不利な結果が出てしまった後でも、弁護士は、刑事記録・実況見分調書や信号サイクル表などを取り寄せて、事故原因を調査することにより、依頼者の主張を説得的にまとめることができます。

調査会社の調査結果を覆すには、弁護士に依頼すべきでしょう。

4.調査会社の対応に困ったら弁護士に相談

このように、事故調査会社がでてきたとしても、落ち着いて、正直に記憶に残っていることを話すことが大事です。
また、一人で乗り越えようとせず、交通事故に強い弁護士に依頼することも有効でしょう。

泉総合法律事務所は、交通事故についてさまざまな事案を解決に導いてきました。交通事故の過失割合や損害賠償金でお悩みでしたら、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

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