安くするには?交通事故の弁護士費用相場と費用倒れになるパターン
2004年から弁護士費用が自由化され、弁護士事務所間の競争が激しくなったことで、弁護士側も相談料無料を掲げるなどして弁護士依頼のハードルを下げています。
しかし、実際、交通事故案件を弁護士に依頼する被害者はそこまで多くはないようです。
これには、弁護士費用への不安も大きく影響しているのではないでしょうか?
しかし、交通事故では、費用がかかっても弁護士に依頼するメリットが大きいケースが多いです。
今回は、交通事故の被害者が示談交渉を弁護士に依頼した場合にどのくらいの費用がかかるのか(相場)、費用の負担を抑える方法はあるのか、についてご説明します。
1.交通事故弁護士費用の相場
まず、弁護士費用には、「弁護士報酬」と「実費」があります。
弁護士報酬は、相談料・着手金・報酬金など、文字通り弁護士への報酬として支払われるもので、その金額は弁護士によって決められているため様々です。
一方の実費は、収入印紙代や交通費、通信費などの経費です。実費に要するものはケースごとで異なりますが、実際に支出されたものを清算し支払うというものです。
弁護士報酬 | 相談料 | 弁護士に相談する際に支払う費用。初回無料とする事務所も多い。 |
---|---|---|
着手金 | 事前に支払う費用。成功したかどうかに関わらず返還されない。 | |
報酬金 | 結果の成功の程度に応じて支払う成功報酬。 | |
実費 | 収入印紙代、交通費、通信費、コピー代など、弁護士への依頼内容によって必要となる経費。日当が発生する場合もある。 |
日弁連が定める「弁護士の報酬に関する規定」には、「弁護士の報酬は経済的利益、事案の難易、時間及び労力、その他の事情に照らし合わせ、適正かつ妥当なものでなくてはならない。」(第2条)と示されています。
つまり、専門家としての弁護士に自由裁量が認められるとしても、値段の設定は制限されているということです。
では、それぞれの相場はどのようになっているのでしょうか。
(1) 相談料
弁護士に解決したい問題について相談する際、その対価として相談料を要する場合があります。
相談だけをして弁護士への正式な委任を見送る場合にも支払わなければならないものです。
通常1時間、または30分毎で金額が設定されていますが、現在は相談しやすいように無料にしているところも増えているようです。
(実際に依頼をした場合は無料となる、というところもあります。)
相談料の相場:5,000~10,000円(30分〜1時間)
無料のケースもあり。
泉総合法律事務所では、初回相談料は1時間まで無料となっております。
(2) 着手金
着手金は、弁護士と正式に委任契約を結ぶことで発生する費用です。
通常は、依頼への着手時、つまり委任契約書を作成するときに支払いが発生します。
これは、結果の成功如何にかかわらず支払い義務が生じます(つまり、結果的に示談金が増額しなかったような場合にも、支払った着手金は返還されないということです)。
法改正の2004年以降、着手金についても無料で示談交渉を引き受ける弁護士が増えています。
着手金の相場:10万円〜(交通事故の示談交渉の場合)
無料のケースもあり。
泉総合法律事務所では、着手金も無料とさせて頂いております(弁護士費用特約をご利用される場合は、料金体系が異なりますが、弁護士費用特約から着手金が支払われるため、お客様のご負担はございませんのでご安心ください)。
(3) 報酬金
弁護士に依頼する際にその対価である報酬金を決める場合、多くは「経済的利益」の何%という決め方をします。
「経済的利益」とは、弁護士が介入することによって得られた利益のことですが、経済的利益の決め方については、以下の2つが主流となっています。
- 回収額の全額を報酬算定のベースとする
- 弁護士が介入したことによって増額した部分を報酬算定のベースとする
報酬を算出する基本の値段が全回収額か増額部分のみかでは、依頼者が支払う弁護士費用は最終的に大きく異なります。
相談料や着手金を無料にするところが増える一方で、相手方からの回収額全体をベースとして経済的利益を決める弁護士が多いようです。
では、具体的に経済的利益をベースにした弁護士報酬金の値段とはどのようなものなのでしょう。
報酬金の相場(計算式):「経済的利益」の10%+約20万円
経済的利益のおよそ1割を報酬と考えるのが主流で、プラスされる約20万円は、問題の複雑さや示談金の大小にかかわらず固定基本料金として設定されているものです。
泉総合法律事務所は、固定報酬0円、報酬金は示談金獲得金額の10%(ただし、最低金額は10万円)です。
弁護士報酬について、日弁連が弁護士へアンケートした結果を『市民のための弁護士報酬ガイド』(2008年度アンケート結果版)にまとめています。
交通事故で重傷を負った被害者の損害賠償請求につき、保険会社からの提示額500万円に対し弁護士は1000万円が妥当と判断し提訴した結果、1000万円を回収できたという事案です。
このようなケースで、着手金は30万円と回答した弁護士が49%、20万円が20%でした。また、報酬金は50万円が35%、70万円が18%です。
このような事案では、1000万円ほどの慰謝料を受け取るために100万円程度の弁護士報酬を支払う必要が生じましたが、仮に、保険会社の提示した金額で示談に応じていたことを考えると、弁護士に解決を委ねることの対価として納得のいく結果なのではないでしょうか。
2.費用倒れにならないための対策
弁護士に交通事故の示談交渉や後遺障害認定の申請を依頼することにより、受け取れる示談金(慰謝料)は増額する可能性があります。
[参考記事]
交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!
しかし、物損事故や軽微な人身事故である場合には、思うほどの増額が見込めず、弁護士に依頼することにより「費用倒れ」になってしまう可能性が0ではありません。
弁護士に相談をすれば、依頼前に「費用倒れになりそうかどうか」を教えてくれる場合はほとんどなので、そのまま依頼をしてしまうというケースは少ないかと思いますが、費用倒れにならないために(弁護士費用を安く抑えるために)被害者ができる対策はあるのでしょうか?
(なお、軽微な事故であっても、「保険会社との交渉自体が煩わしいので費用倒れになってでも弁護士にお願いしたい」という場合は、もちろん、依頼の価値があります。)
(1) 適正な弁護士費用を理解する
相談料や報酬金を安く設定している弁護士に依頼することは、費用を抑えるうえで当然のことだと言えます。
しかし、たとえ相談料や着手金が0円でも、報酬金の算定基準が相場より高いような場合、最終的に大幅に費用が増える可能性も否定できません。
つまり、単体の費用が無料かどうかよりも、示談交渉を依頼した場合の最終的な費用がどれくらいになるのかの説明を求め、自分なりにシミュレーションするなどして、弁護士との委任契約をすることが重要です。
(2) 弁護士費用特約を使う
ご自身が加入している保険に弁護士費用特約を付帯している場合、弁護士費用は保険で賄われます。
これは、自動車保険等に任意で付帯できる特約です。加害者への賠償請求に弁護士依頼をした場合、要した費用が保険から支払われるというものです。
この特約を利用すれば、約300万円まで(各保険会社によって異なります)は、弁護士費用の負担なしで弁護士に依頼することが可能です。
(さらに、損害賠償請求をするための書類作成費用や法律相談に必要な費用も、約10万円を上限に保険金で賄えます。)
弁護士費用特約は被保険者だけでなく、ご家族や同乗者も補償対象とされていることが多いので、その場合家族に加入者がいれば利用できます。
また、歩行中や自転車、タクシー、公共の乗り物に乗っていた場合など、契約車以外での事故にも使用することができます。
ただし、各保険会社には社内基準があり、場合によっては一部が保険負担の対象から除外され、弁護士費用の自己負担が生じるケースもあるため注意が必要です。
ケースバイケースなので、保険会社に確認したり、弁護士に調べてもらったりすると良いでしょう。
[参考記事]
弁護士費用特約とは?|誰が、いつ、どんなことを補償されるか
示談交渉の際に、弁護士費用を損害賠償に含めて請求することはできないのでしょうか?
残念ながら、これは相手側によほどの事情がない限り、認められることはないでしょう。被害者も加害者も自己負担が原則です。
例外的に、交通事故の解決が、民事訴訟や少額訴訟といった裁判に持ち込まれた場合、勝訴さえすれば、弁護士費用と訴訟費用については、一部のみ相手側に請求することができます。
参考:交通事故の弁護士費用を加害者に請求できないか?
3.交通事故のご相談は泉総合法律事務所へ
示談交渉を弁護士に依頼することで、問題解決が有利に進み、肉体的・精神的負担が軽減できます。
また、弁護士に依頼することで、示談金(慰謝料)の増額も期待できます。重大事故であればあるほど、弁護士費用特約がない場合でも、弁護士に依頼をするメリットは大きいでしょう。
弁護士費用については、担当する弁護士にきちんと説明を求めるようにしましょう。
納得できる解決のためには、相談料が無料の複数の弁護士に相談し、費用の安さだけでなく、弁護士の対応の仕方、自分との相性もよく考慮することが大切です。
泉総合法律事務所は、初回相談料・着手金無料、そして獲得金額の11%(税込)の完全成功報酬制です。交通事故被害者様のご負担を少しでも軽くしようという想いから、リーズナブルな弁護士費用を設定しております。
→費用について
交通事故に経験豊富な弁護士がお待ちしていますので、是非一度、当事務所の無料相談をご利用ください。