脊柱の後遺障害慰謝料
脊柱とは、頭骨に続いて、脊椎動物の体幹の構造上の中心をなす骨格で、いわゆる背骨と言われる部分です。頸椎、胸椎、腰椎、仙骨(仙椎)、尾骨(尾椎)の椎骨が連なって構成されており、中に脊柱管があります。 脊柱の後遺障害としては、①変形障害と②運動障害があります。それぞれの後遺障害等級と認定基準は以下のとおりです。なお、障害等級表上の「脊柱」に含まれるのは、頸椎、胸椎、腰椎で、仙骨及び尾骨は含まれません。
① 変形障害
脊柱の変形障害については、その変形の程度により、次のように後遺障害等級と認定基準が定められています。
【変形障害に関する後遺障害等級と認定基準】
等級 | 後遺障害の内容(認定基準) |
---|---|
別表第2 6級5号 |
脊柱に著しい変形障害を残すもの ※脊柱の後彎(こうわん。後方への骨の突出)又は側彎(そくわん。左右への湾曲)の程度等により等級を認定します。脊柱の後彎の程度は、脊椎圧迫骨折等(脊椎圧迫骨折、脱臼等)により前方椎体高が減少した場合に、減少した前方椎体高と当該椎体の後方椎体高の高さを比較することにより判定し、脊柱の側彎はコブ法と呼ばれる検査方法で判定します。 ※「脊柱に著しい変形障害を残すもの」とは、エックス線写真、CT画像又はMRI画像により、脊椎圧迫骨折等を確認することができる場合で、次のいずれかに該当するものを言います。 (1)脊椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し(減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものを言います。)、後彎が生じているもの (2)脊椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し(減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50%以上であるものを言います。)、後彎が生ずるとともに、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの |
別表第2 8級相当 |
脊柱に中程度の変形を残すもの ※脊柱の後彎又は側彎の程度等により等級を認定します(判定方法は同上)。 「脊柱に中程度の変形を残すもの」とは、エックス線写真等により脊椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するものを言います。 (1)脊椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生じているもの (2)コブ法による側彎度が50度以上であるもの (3)環椎又は軸椎の変形・固定により、次のいずれかに該当するもの -(a)60度以上の回旋位となっているもの -(b)50度以上の屈曲位又は60度以上の伸展位となっているもの -(c)側屈位となっており、エックス線写真等により、矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもの |
別表第2 11級7号 |
脊柱に変形を残すもの ※「脊柱に変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものを言います。 -(1)脊柱圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの -(2)脊椎固定術が行われたもの -(3)3個以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの |
後遺障害慰謝料(自賠責保険基準と弁護士基準)
等級 | 自賠責保険の慰謝料基準(自賠責保険金額) | 弁護士基準 |
---|---|---|
6級 | 498万円 (1296万円) | 1180万円 |
8級 | 324万円 (819万円) | 830万円 |
11級 | 135万円 (331万円) | 420万円 |
注)6級の自賠責保険金額1296万円のうち、498万円が後遺障害慰謝料に相当する額です。以下の級も同様の考え方です。 ご覧のように、弁護士基準の場合、後遺障害慰謝料だけで、自賠責保険金額の上限額に近い額となります。
② 運動障害
脊柱の運動障害については、次のように後遺障害等級と認定基準が定められています。
【運動障害に関する後遺障害等級と認定基準】
等級 | 後遺障害の内容(認定基準) |
---|---|
別表第2 6級5号 |
脊柱に著しい運動障害を残すもの ※「脊柱に著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかにより頸部及び胸腰部が強直したものを言います。 (1)頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの (2)頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの (3)項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの |
別表第2 8級2号 |
脊柱に運動障害を残すもの ※「脊柱に運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものを言います。 (1)次のいずれかにより、頸部及び胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの (a)頸椎又は胸腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの (b)頸椎又は胸腰椎に脊椎固定術が行われたもの (c) 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの (2)頭蓋・上位頸椎間に著しい異常可動性が生じたもの |
後遺障害慰謝料(自賠責保険基準と弁護士基準)
等級 | 自賠責保険の慰謝料基準(自賠責保険金額) | 弁護士基準 |
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6級 | 498万円 (1296万円) | 1180万円 |
8級 | 324万円 (819万円) | 830万円 |
注)6級の自賠責保険金額1296万円のうち、498万円が後遺障害慰謝料に相当する額です。以下の級も同様の考え方です。 ご覧のように、弁護士基準の場合、後遺障害慰謝料だけで、自賠責保険金額の上限額に近い額となります。