病院で治療中の方
この時期、一番重要なのは、医師の指示に従い、適切に通院をするということです。適切に通院するうえで、必要な情報をお伝えいたします。
通院頻度については気を付ける
(1)因果関係・・・最低でも1か月に1回は必ず医師のところで受診する
原則として、1か月に1回は必ず通院するようにしてください。
特にむち打ちなどの場合、忙しいからといって通院を空けてしまうことは、後々デメリットになります。具体的には、治療が交通事故による損害として認められるためには、事故と治療との間に因果関係が必要ですが、1か月に1回も行かないのであれば、事故から生じたケガは治癒したと判断されてしまいますし、その後通院を再開したのであれば、別の要因も考えられると判断されてしまうことになり、因果関係が否定されてしまいます。
自賠責保険でも、通院の間隔が1か月以上空いてしまうと、事故によって生じた負傷のための通院ではないとして因果関係が切れてしまいます。どれだけ忙しくても、通院をするようにしてください。
なお、「医師のところ」というのが一つのポイントです。たとえば、初回のみ整形外科などの医師の所に行き、その後は整骨院に通われている方もいらっしゃるかもしれません。ただ、治療の必要性が争われたときに、強力な立証資料となるのは医師の作成する診断書です。少なくとも、併用して通うようにしましょう。
(2)後遺障害の可能性がある方へ・・・1か月に複数回通う方が良い
また、後遺障害が発生する可能性がある際には、1~2週間に1回以上医師の所に通院し、診断を受けることが好ましいとされています。後遺障害診断書という、後遺障害認定に必要な書類を作成できるのは医師だけなので、必ず医師の所にも通院するようにしてください。
症状が残っているのであれば、必ずその症状を毎回伝える
医師の通院は必要なのですが、その際に漫然と通院するだけではいけません。医師の所に通院する目的は、まず症状を改善し、治すためというのは当然です。
ただ、2項でも出てきましたが、医師の作成する診断書やカルテは、もし症状が残ってしまった場合や加害者側が治療の必要性など、治療期間について争ってきた場合に、反撃する材料にもなります。特に、症状が残ってしまった場合、事故当初から一貫して症状が生じているということは、一つの重要な点となります。
通院時には、的確に症状を伝えるようにしましょう。
通院開始から3か月目を超えてきた方へ
この時期を過ぎてくると、もしかしたら保険会社の方から「そろそろ通院終了を」と打診してくる可能性がある時期です。したがって、どの程度治療を続けたらよいのか、という点について医師に確認しましょう。
また、同時に休業損害についても徐々に争われてくる時期です。後々、保険会社から休業損害を認めないと言われる可能性もありますので、場合によっては、医師に休業すべきかどうかということを確認し、診断書を作っておいてもらうようにした方がよいでしょう。
弁護士費用特約がある方へ
この段階には、保険会社とのやり取りを定期的にすることになります。このため、治療に専念できなかったり、お仕事をされている方ですと、「9時から17時までの間に連絡を取らなければならない保険会社との電話に手間取ってストレスになる。」「保険会社の担当者とのやり取り自体が嫌だ。」という声もよく聞きます。
もっとも、弁護士費用特約に加入されていない方の場合には、弁護士費用を支出する観点から、示談提示が出た段階でご依頼されることが好ましいです。ただ、弁護士費用特約をつけている方の場合には、それを利用すれば、被害者様の過失割合が大きくないかぎり、原則弁護士費用を自己負担する必要がない分、示談金額などについても高額になることが多いです。
それゆえに、弁護士費用特約がある方の場合には、この時点から依頼されることで保険会社との通院のやり取りを弁護士に任せることができるだけでなく、示談時に示談金額UPの可能性も高いので、この時点から依頼された方がお得ということになります。
詳細については、下記リンクをご参照ください。
・保険会社から示談金を提示された方(タイミング別アドバイス)
まとめ
医師の所へ定期的に通院することの重要性をご理解いただけましたでしょうか。
診断書やカルテにない事実を後々証明することは極めて難しいです。医師のところへ行く理由として、ケガを治すために、というのが一番の理由ですが、後々不利益を受けないようにするために、という理由も大切になります。