死亡事故の損害賠償請求交渉で2600万円超を獲得
円
賠償金 | 2,300万円→2,600万円300万円増額 |
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後遺障害等級 | 後遺障害等級非該当 |
症状 | 急性硬膜下血腫、両外傷性くも膜下出血 等 |
受傷部位 | 死亡 |
治療期間/受任時の治療状況 | 総日数3日/入院日数3日/治療終了 |
争点 | 示談金増額 |
解決方法 | 示談交渉 |
過失割合 | 5% |
事故発生状況
Bさんは、いつもの日課で散歩の途中でそれほど交通量の多くない道を歩いていて、交差点を渡ろうとしたところ、右折してきた車に轢かれてしまい、病院に搬送されました。しかし、不幸にも頭部に負った傷が原因でそのままお亡くなりになってしまいました。
ご相談いただいた背景
Bさんの相続人のAさんが当事務所に来所され、保険会社から提示された損害賠償額の妥当性を相談されました。
結果
法律的な論点が多数ありましたが、一つ一つ損保会社と交渉を重ねた結果、提示額よりも大幅に増額となりました。
解決のポイント
法律問題が多数含まれている事案でしたので、その一つ一つについて、交渉を重ねた結果、慰謝料の増額につながったのだと思います。
主な論点は、①Bさんの死亡に関する慰謝料、②相続人であるAさんらの固有の慰謝料、③逸失利益の計算方法、④過失割合の修正要素の検討、⑤葬儀費用などの諸費用の負担です。
①は、亡くなったBさんの死亡に対する慰謝料(Aさんらが相続)なのですが、②は相続人固有の慰謝料で、理論上は別々に請求することが可能です。
本件では、Bさんが高齢者ということもあり、損保会社の提示は裁判水準よりも極めて低額に抑えられていましたが、交渉の結果、①と②を合算して、裁判基準に照らしてもなかなかの高水準ともいえる慰謝料が獲得できました。
③の逸失利益に関しては、Bさんが年金受給者であり、受給年金額を基礎に計算するのですが、その逸失利益の計算期間に争いがありました。本来年金は受給者が亡くなるまで受給できるものなので、平均余命という統計上の数値を基準に計算されることが裁判では多いのですが、保険会社からの提示はこの数値を基礎にしていませんでした。
そこで、交渉を重ねた結果、平均余命までを基礎に、裁判基準と同等の逸失利益を獲得することができました。
④の過失割合は、日没後の事故ということもあり、夜間の事故としてBさんの過失割合が5パーセント加算されていました。しかし、日没後とはいえ、周囲に街灯がともっており、視界が良好に保たれています。
そこで、道路交通法の灯火義務に準じて視界が100メートル以上保たれているため夜間修正は見直してほしい旨の意見を述べ、その他の過失割合に関する減少要因もあわせて述べたこともあって、Bさん側の過失割合を5パーセント減少してもらえることになりました。
⑤の葬儀費用は、実際に葬式に要した費用の半額以下の提示でしたが、交渉の結果、裁判水準で認められる金額まで保険会社に譲歩してもらい、約1.5倍程度の増額となりました。
以上のような要素を積み重ねて賠償額の増額には成功しましたが、このお金を亡くなったBさんにお渡しできないことが非常に残念です。