後遺障害12級 裁判例集
後遺障害12級の裁判例です。
■後遺障害12級12号(注:現在の等級表では12級13号)を認定した裁判例
東京地裁平成8年1月23日判決
被害者の後遺障害につき、MRIの画像やサーモグラフィーが示す温度異常から、12級12号(注:現在の等級表では12級13号)を認定した裁判例です。
【事案の概要】
被害者は、本件事故で左臀部、左大腿挫傷、頸椎捻挫等の傷害を負い、自賠責において後遺障害は非該当とされました。
訴訟において、原告(被害者)は、12級12号(注:現在の等級表では12級13号)の後遺障害が残ったと主張しました。
【裁判所の判断】
裁判所は、被害者の左臀部に残った痛みにつき、MRI画像上、左の臀部の筋肉が右に比して痩せて硬くなっていることが明らかであって、このこととサーモグラフィーが示す温度異常から、痛みが原因となって、左臀部が低温となったものと認められるので、他覚的所見に裏付けられた医学的に証明できるものであるとしました。
そして、本件被害者の後遺障害につき、12級12号(注:現在の等級表では12級13号)に該当し、労働能力喪失率は14%であると認定しました。
【コメント】
CT、MRIなどの所見があり、神経症状を医学的に明らかに証明できる場合には12級13号が認定されやすくなります。
本裁判例の事案でも、MRI画像上、被害者の左臀部の筋肉が右に比して痩せて硬くなっていることを明らかに示すMRI画像があり、12級認定のポイントとなっています。
また、本裁判例は、MRI画像だけでなくサーモグラフィーによる所見も重視し、痛みが原因となって、左臀部が低温となったとして、12級12号(注:現在の等級表では12級13号)を認定しました。
ですが、サーモグラフィーについては、「機能的な障害による温度変化から疾患の障害領域を判定できるメリットがあるにとどまる」として、神経障害が生じていることを医学的に証明しうるものではないと判断した裁判例(東京地裁平成15年1月28日判決)もあり、判断が分かれています。